「チームは10点満点。3-0で勝っても不思議ではなかった」
スペイン紙『マルカ』によると、アルグアシル監督は試合後に「チームは攻守両面において10点満点だった。スコアは3-0でも不思議ではなかったかもしれない」とコメントを残していたようだ。決してオーバーな表現ではないだろう。この日のソシエダにはほとんど隙がなかった。
先発メンバー“全員”のパフォーマンスレベルが高かった。メリーノ、B・メンデス、マルティン・スビメンディの中盤は攻守で相手を上回り、久保とバレネチェアの両サイドはキレキレ。アマリ・トラオレの上下動は素晴らしく、GKアレックス・レミロはさすがの鉄壁ぶりを発揮していた。
しかし、ソシエダが良かった一方で、ベンフィカがボロボロだったのも事実。アウェイチームが勝つべくして勝ったのは、ここにも理由があるだろう。
「我々は創造力に問題を抱えている。クオリティーはあるが、今のところデュエルで勝つことができない。結局、個人の問題ではなくチーム全体の問題なんだ。このような試合では、チャンスを作るために必要な最高レベルの連係ができていない」
試合後のロジャー・シュミット監督のコメントだ。ジョアン・マリオ、ラファ・シウバ、ダビド・ネレス、ジョアン・ネベス、オルカン・コクチュ…。確かにタレントは揃っており、クオリティーはある。しかし、ドイツ人指揮官の言う通り、チームとしてのまとまりはほぼ感じられなかった。
アントニオ・シウバ、ニコラス・オタメンディを中心としたゴール前の固さはあったが、とくに深刻なのは攻撃面だ。ボールを奪っても受け手と出し手のズレからすぐに失ってしまう場面が散見され、意図のない苦し紛れのロングボールを敵陣に蹴り込むことも多かった。
CFのレベルダウンも課題だ。2季連続でCLベスト8に駒を進めているベンフィカだが、そこにはダルウィン・ヌニェス、ゴンサロ・ラモスという2人の絶対的なエースが存在していた。しかし、今季はそうした人材がいない。ペタル・ムサに彼らほどの爆発力はなく、アルトゥール・カブラウはそもそも前所属のフィオレンティーナで影が薄かった存在だ。ゴール前における怖さが半減したことが、今季CLグループリーグで未だ得点を奪うことができていない原因と言えるだろう。
結論、ベンフィカはゴールを奪うというシンプルな目標に至るまでの明確なシナリオを模索している段階にあると言える。国内リーグではそれでもゴールネットを揺らせるほどの力の差があるが、各国の猛者が集結するCLではそうもいかない。
中途半端な攻撃が中途半端な守備につながる。ソシエダに何度も深くまで侵入されたのは、そういった意味で必然のことだったと言える。それはイコール、最も警戒すべき久保に余裕をもってプレーさせてしまった過ちでもある。