サッカー日本代表が実践した「引いた相手の崩し方」
「特にチュニジアが顕著でしたが、あのように後ろに引いてブロックをつくるチーム、言い換えると相手にボール保持を許しながら奪ったボールで素早くカウンター攻撃を狙うチームとの対戦では、ボールを素早く左右へ動かすことが重要になります。それ以外にも選手間のポジションチェンジが有効な一手です。今回の日本代表はそれを積極的に行い、状況に応じた役割の変更もしっかりと行えていた」
単純なポジションチェンジだけでなく、それぞれの選手が動いた位置や状況に適したプレーを選択できていたことで、相手を惑わせることに成功していたと分析する。
「たとえば、久保建英は中央に配置されていましたが、ずっとそこにいたわけではないですよね。時に、サイドに流れて数的優位をつくり出してボールを前進させようと試みていました。旗手怜央、伊東純也、守田英正らも自分のポジションから離れて飛び出すシーンが多く見られました」
「しかも、各々が好き勝手に動いているのではなく、味方の動きやボールの動きに合わせて適切なタイミングで動き出せていたように思います。そういったポジションチェンジの連動に加えて、ロールチェンジの判断が的確なのが、今の日本代表です。人が動き、それに連動してボールも動く。対戦相手にとって捕まえづらいサッカーが展開できています。現在の日本代表が好調な要因のひとつですね」
そういった積極的なポジションチェンジで数的優位な状況をつくり出そうとゲームを展開させる日本代表だが、選手個々の能力を考慮すれば数的同数であっても相手を上回れる質的優位な状況から相手を打破できると、アレックスは主張する。