「J1へ行って、もうJ2には帰らない」
【写真:Getty Images】
「この1年間を通してやってきたのはJ2で勝つサッカーであり、すべてが私のやりたいサッカーかと言えば、決してそういうわけではない。もちろんこれから選手たちの入れ替え、というものも出てくると思いますし、そのなかで今年のベースをもとにさらに強化策を図りながら新しい町田のサッカーを、Jリーグのなかでもトップを争えるような強いチームとして確立させていきたい」
以心伝心というべきか。藤田社長も同じ未来を共有している。黒田監督の来シーズンの続投を問われ、即座に「当然です。明らかですよね」と笑顔で返した同社長は、さらにこんな言葉を残した。
「J1へ行って、もうJ2には帰らない、ということで」
敵地のゴール裏へ駆けつけてくれたファン・サポーターと、悲願の昇格決定の喜びをともに味わったときに、黒田監督は周囲から提案された歓喜の胴上げをやんわりと断っている。理由は単純明快。J1昇格は決めたが、同じく目標として掲げてきたJ2優勝はまだ果たせていないからだ。
「次でしっかりとそれ(優勝)を果たして、多くのファン・サポーターが集まってくれる前で目に焼きつけられるような試合をしたいし、そういった機会を得られればと思っています」
J3降格圏内の21位以下が決まっているツエーゲン金沢を、ホームに迎える29日の次節に勝てば町田のJ2初優勝が決まる。前日28日に熊本と対戦する清水が、引き分け以下に終わった場合も町田の優勝が決まるが、ライバル勢の結果はもう気にしない。今シーズンのホーム最終戦で強く、たくましい町田を再び披露し、指揮官が宙を舞った瞬間から、J1という未知の世界へ向けた新たな戦いが幕を開ける。
(取材・文:藤江直人)
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