リバプールが徹底していた“狙い”
試合を10人で折り返したエバートンのダイシ監督は、後半開始と同時にジャック・ハリソンとドワイト・マクニールの両WGをベンチに下げて、ネイサン・パターソンとマイケル・キーンという2人のDFを投入する英断を下した。
この時点でエバートンは「引き分け狙い」であり、[5-3-1]のブロックを自陣に引いてスペースを消していた。
そのため押し込んだ状況においてのボックス内でのシュートやミドルシュートは、先述した通り、ターコウスキを中心としたDF陣の”魂のブロック”に封じられ、リバプールはなかなか決定的なチャンスとはならなかった。また右WGのモハメド・サラーとエバートンの左SBビタリー・マイコレンコのマッチアップも、守備を得意とするウクライナ代表DFの奮闘もあって、右サイドから質的優位を作ることは難しい状況だった。
一方でルイス・ディアスがいる左サイドだけはリバプールが常に優位に立っていた。前半にアシュリー・ヤングを退場に追い込んだコロンビア代表FWは、右SBがパターソンに代わっても優勢だった。
そのためリバプールはエバートンの右サイドを徹底的に狙い続けた。ディアスにボックス内で仕掛けやすくさせるように、一度右サイドを経由してから同選手にボールを預ける工夫も見られ、コロンビア代表自身もあえて相手DFとの距離を取ってパスを引き出した。
これが功を奏したのが先制点に繋がるPKを獲得した72分の場面だ。71分にもディアスがあわやPK獲得という好機を作っていたが、その1分後に同選手がクロスからキーンのハンドを誘い、2度目の正直でPKを獲得。リバプールの“狙い“が結果に結びついた瞬間だった。