鈴木優磨や柴崎岳が痛感「首位に立っているチームと勝ち切れないチームの差」
昌子が不振にあえぎ、柴崎もケガで終盤の重要局面でフル稼働できないなど、いくつか誤算が生じ、鈴木優磨と植田の攻守両面での奮闘だけでは足りないものがあった。荒木や松村など若手の成長率もやや物足りなさが感じられ、総合力が足りなかった印象もある。
「長いリーグ戦を勝ち続けていくにはスタイルがないと難しい。そのスタイルが何なのかを僕自身も模索しています。今日に関して言えば、相手に単純なところも上回られたし、レベルや完成度も高かった。彼ら(神戸)には積み上げてきたものがある。それが首位に立っているチームと勝ち切れないチームの差なのかなと。そこを非常に痛感した」と鈴木優磨も悔しさを噛みしめた。今季の鹿島は確固たるスタイルを確立できなかったと言わざるを得ないだろう。
岩政監督はプランを提示しつつも、選手たちに臨機応変に判断しながら戦うことを求めたが、それも容易ではなかった。この日の前半がまさにそうだった。
「鈴木優磨のところに飛ばすボールを入れていけば前進できるのに、それを繰り返しもしなかったし、ボールを動かすことばかりになってしまった」とも指揮官は語ったが、練習したことを『やろう、やろう』としてしまい、柔軟性や臨機応変さを出せないのが今の鹿島なのかもしれない。そういうアドリブ力はやはり神戸の方が上だった。いかにして鹿島の選手個々をそういうレベルに引き上げていくのか。クラブ全体が真剣に模索しなければいけない時期に来ていると言っていい。
「小さな1勝からの積み重ねからしか現実は変えられない。何かチームとして大きく掲げたからといって劇的に変わるものでもない。地道な作業になるのかなと感じています」と柴崎も沈痛な面持ちで話したが、鹿島はここからどう歩んでいくのか…。かつての常勝軍団は難しい局面に立たされている。
いずれにしても、今回の神戸戦を徹底検証し、問題点を洗い出したうえで、1つ1つ改善していくしか道はない。柴崎が強調するように、全ては地道な積み重ねでしかない。それをしなければ、明るい未来は開けてこない。
(取材・文:元川悦子)
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