「ならばJリーグには夢がないのか」
一方で筆者は「Jリーグ百年構想から言えば、草の根的に増えていくことは必然だと思う。一方で限られたパイの中で報酬を分け合わなければならない」(p35)と現状を分析しており、解決の糸口は見えてこない。
さらにはセカンドキャリアにおいても、サッカー選手として培った力で仕事をできるのは一握りで、その他の選手は0から新たに仕事を始めなければならない。
引退後に指導者になろうと考えても、そう簡単なことではない。「町クラブのサッカーコーチでは月給12〜13万ぐらい」(p66)であり、選手時代と比較すると厳しい現実が待っている。
現役中に一定の金銭を手にしようとするのであれば、一般的な仕事と同じように最低賃金を設定するという方法もある。ただ、「それ作られちゃうと、俺たち、Jリーガーじゃいられなくなる」(p46)と厳しい立場の選手からの声もあり、最低賃金の設定は見送られたままである。
一方で、現在も水戸ホーリーホックのGMを務める西村氏の「J1のトップに行けば、大きな報酬を得られる。その夢は叶えさせてあげたい。」(p170)という言葉にあるように、ある時期にどのカテゴリーにいたとしても、J1または海外までステップアップする選手もいる。
クローズアップされるのは劇的なステップアップを果たした例であるが、その裏には陽の目も浴びずにひっそりとセカンドキャリアに向かう例もある。
ならばJリーグには夢がないのか。
一握りの選手しか栄光を掴めないのか。
Jリーガーになる、ということは人生においてリスクを賭けたギャンブルなのか。
しかしここ最近の日本プロサッカー選手会において、新たな動きがある。