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日本代表 1年前

サッカー日本代表が作り上げた「対アジア」戦略。引いた相手をどう崩したのか?【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

「対アジア」戦略のサンプル

チュニジア代表戦に出場したサッカー日本代表MF久保建英
【写真:Getty Images】



 後半に少しスペースが空いてくる。69分、久保が左サイドのディフェンスライン手前で受けるとみせて縦へのランで抜け出し、ドリブルで加速して戻し気味のパス。逆サイドから詰めてきた伊東へ。伊東がピシャリと決めて2-0。専守防衛のチュニジア代表でも1点はとる可能性があるが、あそこまで押し込まれると2点はまずとれない。アジアでの戦いでもポイントになる2点目を崩し切ってとれたのは大きい。

 守備で隙をみせず、相手を押し込んで封鎖。攻めては焦らずにキープして後退させ、あわよくば前で奪って点に結び付けたい相手の思惑を打ち砕く。バイタルをこじ開けて潜り込み、数はそれほど多くないが決定的な形にして容赦なく決める。対アジアのサンプルは出来上がっていた。さらにカタールW杯コスタリカ代表戦の、引かれたら崩せないという課題への回答も示せた。

 三笘薫と伊東の突破頼みだった攻撃ではなく、裏への飛び出しとバイタルへの潜り込みを組み合わせる縦の揺さぶりをルーティーン化して手詰まり感を払拭している。GKの選択をどうするか、トップ下は鎌田、久保、堂安、南野の選択があり、CFも古橋、浅野拓磨、上田綺世、前田大然が競う。監督にとっては悩ましいが層が厚くなったということ。懸案の左SBは中山が文句なしのプレーをみせた。板倉、冨安、守田、遠藤の4人は鉄板。ここに負傷者が出なければこのレベルは維持できるだろう。

(取材・文:西部謙司)

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【了】

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