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Jリーグ 1年前

「人生で一番しんどかった」浦和レッズの不安と覚悟と涙。交錯した4人の感情とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「それはずるいって」「自分のせいじゃない」

浦和レッズMF関根貴大
【写真:Getty Images】



「本当に必死でしたし、人生で一番しんどかった前半でした。特に前半の前半は、何が起こっているのかがわからなかった。前半が終わった段階で、何か90分間を戦い終えた感覚でした」

 浦和守備陣の穴を突けと、対面のFWエウベルが関根に対して何度も仕掛けてきた。

「めちゃくちゃ狙ってくるじゃん、と思っていました。でも、エウベル選手はけっこう守備をサボりがちなので、そこで自分が高い位置を取っちゃえば数的優位は作れると思っていましたし、ショルツもそこをしっかりと見てくれた。そこの関係性はうまくできていたと思います」

 エウベルとの攻防をこう振り返った関根は、スタミナが尽きかけていた83分に、エウベルに代えて快足FW宮市亮を投入してきたマリノスベンチの采配に思わず悲鳴を浮かべている。

「言いましたもん、宮市くんに。それはずるいって。いまからそれはきついって」

 粘り強く、とにかく必死に。責任感を振り絞って食らいついても限界があった。アディショナルタイム6分。宮市に左サイドからのカットインを許し、完璧なシュートを放たれた。同点で延長戦か、と思われた次の瞬間に、守護神・西川周作が魂のファインセーブを演じてコーナーキックに逃れた。

 最終ラインの一翼として無失点に貢献した関根は、酒井宏樹の代役としてプレッシャーがあったのか、という問いに「全然ないですよ」と即答。不慣れなポジションをまっとうできた秘訣を明かした。

「だって宏樹くんと比べられても困りますし、なので本職じゃない、というところで思い切ってプレーできました。抜かれても自分のせいじゃないというか、それくらいの気持ちじゃないとやっていけなかったというか、吹っ切るしかなかったですね。ただ、攻撃のところではけっこう自信があったので。ポジションを取りながら自分がうまくビルドアップに参加して、というところでサイドハーフのときよりボールを受ける回数も多く、うまくできたかなと思います。他にサイドバックは大勢いますけど、自分がいままで経験したものをこのポジションで、自分の色として出せたのかなと思っています」

 試合後の取材エリアでも足取りが重かった関根の心身を慮るように、後方支援したショルツは「今晩はちょっと疲れたでしょうね」と目を細め、さらにこんな言葉を紡いでいる。

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