17歳の覚悟と28歳の不安
「そうなった(再発した)ら仕方がないと思って、割り切ってプレーしていたので。昨日のトレーニングには参加していましたし、昨日よりは怖さを感じることなく試合に入れたと思っています」
早川と荻原が獲得したPKを、ともに浦和の得点に変えたのがDFアレクサンダー・ショルツだった。もっとも、今年7月のセレッソ大阪でのPK失敗が、2021年夏の来日以来、10本目で初めてだったと別の意味で脚光を浴びたPK職人にとって、1試合で2度PKを蹴るのはほとんど体験がなかった。
ショルツは自分から見て左方向に蹴り、成功させる確率が極めて高い。なので、1本目はデータと一森の逆手を取って右へ蹴って成功させた。しかし、左のギリギリを狙い、左ポストに当てながら成功させた2本目に対して、ショルツは「不安要素があった」と試合後に語っている。
「まず右に蹴るのはちょっと違うな、と。真ん中に蹴るのも自信がなかったので、自分が得意とする左サイドに決めた。ただし、相手キーパーは僕がよく左に蹴るのがわかっているのでリスクも高い。成功させるにはパーフェクトなPKを蹴らなければいけないとわかっていた。実際にパーフェクトなPKだったが、ポストに当たらなかったら(反応していた)キーパーが触っていたかもしれない」
ショルツはマリウス・ホイブラーテンとのコンビで、マリノスの攻撃をシャットアウトした。同時に右センターバックとして、右サイドバックの守備面を軽減する役割も担い続けた。
浦和の不動の右サイドバックで、キャプテンも務める元日本代表の酒井宏樹は第1戦で2枚のイエローカードをもらって退場処分を受け、第2戦が出場停止となっていた。代役に指名されたのはサイドアタッカーとしてチームをけん引し、第1戦ではトップ下で途中出場していた関根貴大だった。
右サイドバックでとして練習したのは、前日14日のたった一度だけだった。マチェイ・スコルジャ監督からは特に具体的な指示はなく、関根自身も「不安だらけでした」と胸中を明かした。