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JリーグYBCルヴァンカップ準決勝第2戦、浦和レッズ対横浜F・マリノスが15日に行われ、2-0で勝利した浦和が決勝進出を決めた。第1戦の不運、怪我、慣れないポジション、PKという重責。浦和が2007年以来となる決勝への切符とつかみ取るまでには、選手たちの様々な感情や葛藤があった。(取材・文:藤江直人)
涙を流す荻原拓也
万感の思いを込めながら、埼玉スタジアムに「ありがとうございます!」と第一声を響かせてから十数秒後。ヒーローインタビューに応じていた浦和レッズのDF荻原拓也が急に沈黙した。
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「アウェイで自分がPKを献上してしまって、このホームで、誰よりも絶対に勝ちたいと……」
次の瞬間、オーロラビジョンに映し出されたのは男泣きする荻原の姿だった。試合後の取材エリア。照れくさそうに「いまは落ち着いています」と切り出した23歳が、涙の意味に言及した。
「いやぁ、ちょちょぎれました。何だろう、ちょっとわからないです。あとひとつ勝たないと何の意味もないんですけど、それでも今日はいつも以上にというか、自分のなかですごく強い気持ちを持ってプレーしていたので。それが多分、ちょちょぎれた要因だったのかなと思っています」
横浜F・マリノスのホーム、日産スタジアムで11日に行われた準決勝第1戦で、浦和は0-1で苦杯をなめていた。決勝点は61分にFWアンデルソン・ロペスが決めたPK。クロスに走り込んできたFWヤン・マテウスを必死に追走する荻原の右手に、不運にもボールが当たってしまった。
舞台を埼玉スタジアムに移して、中3日で迎えた第2戦。再び左サイドバックとして先発した荻原は雪辱を期す思いだけでなく、大一番へ向けた高揚感も胸中に同居させてピッチに立った。
「(第1戦が)悪かったという思いよりも、むしろそういった感覚がなさすぎて。ただ、ハンドだけは不運だったと思いながらも、そこに対する責任は感じていました。なので、それをしっかりと背負いながら戦おう、と。何と言えばいいのか、今日の試合が本当に楽しみでした。そういうマインドで戦えたからこそ、ひとつひとつ思い切りのあるプレーにつながったと思っています」
土壇場の88分。荻原のなかで脈打ち続けた覚悟と決意が逆転劇を手繰り寄せた。