「回数は以前より多くなっている」“新しい”中山雄太
53分には敵陣にわずかに入ったあたりから、正確なロングパスを左前方へ走り込む浅野へ供給。浅野粘りから田中のシュートにつなげた場面は、中山の左足ではなく右足がきっかけになっていた。
「リハビリ期間をへて、右足の感触というのは復帰前よりもいいんですよ。試合を見てもらえばわかりますけど、右足を使っている回数も以前より多くなっていると思います」
リハビリを課しながら、キックの精度も高めた右足も“新しい”中山のひとつになる。しかし、最も大きな変化といえるのが、日本の左サイドバックというポジションに抱く覚悟と決意となる。
3月に船出した第二次森保ジャパンは、9月までに6つの国際親善試合に臨んできた。4人で組まれる最終ラインの左サイドバックの先発は、4試合で指名された伊藤洋輝を筆頭に、バングーナガンデ佳史扶と森下龍矢が1試合ずつで続いている。
今シリーズで招集されているのは伊藤だけだが、コンディション不良でカナダ戦には出場せず、一夜明けた14日には代表からの離脱が発表された。絶対的な存在がまだいない状況で、カナダ戦で先発フル出場を果たした中山は、及第点といっていいパフォーマンスを見せ続けた。森下を除く3人が左利きという点に、森保一監督が左サイドバックに求める特性が伝わってくる。
復帰へ向けてリハビリの強度を高めながら、第二次森保ジャパンの戦いを見守ってきた中山は「現状で左サイドバックがまだ固定されていないが」という問いに、苦笑いを浮かべながら「おそらくここが、みなさんが一番聞きたい部分だと思います」と、聞き手の意図を汲みながらこう続けた。
「僕としてはここが新たなスタートだと思っている。遅れている分をしっかりと取り戻しながら、レギュラー争いにどんどん食い込んでいきたいし、みなさんがもし左サイドバック問題を感じているとしたら、そこをしっかりと解決できるような選手になりたいと思っています」
センターバックやボランチを含めて、守備のユーティリティープレーヤーとして重用されてきた中山は一方で、左利きゆえに配置される機会もあった左サイドバックを以前にこう語っていた。