新しい“中山雄太”を追い求めて
具体的には何をもって“新しい”と位置づけるのか。ひとつは肉体となる。JFAが発表している中山のサイズは、カタールW杯メンバー発表時も今回も身長181cm体重76kgで変わらない。それでも肩幅を含めた中身がまったく違うと、同じ1997年生まれのDF板倉滉は畏敬の念を込めて語っている。
「ラガーマンくらい体が大きくなって帰ってきた。雄太は『ポジティブな気持ちで、リハビリを楽しみながらできた』と言っているけど、あれだけの大きな怪我をして、それだけの気持ちで取り組めるのは本当にすごいこと。自分だったら無理だと、雄太の話を聞きながら思っていました」
リハビリ期間中に課した肉体改造は、昨シーズンからプレーする、イングランド2部にあたるEFLチャンピオンシップの戦いにより適応する目的も兼ねていた。長く、過酷なリハビリを楽しめたのは「自分の性格なのかな」と照れながら振り返った中山は、リーグ戦の特徴をこう語っている。
「今シーズンの自分はウイングバックでもプレーしていますけど、とにかくインテンシティーが高いし、縦にいくスピード感と迫力もすごくある。そういうものを求めて移籍してきたのもあるので」
プレー面ではどうか。冒頭で記した南野へのチップキックを含めて、左足から繰り出される正確で上質なパスはビルドアップに関わっていく上で、大怪我を負う前からの中山のストロングポイントだった。中山も「ビルドアップの部分は、自分も以前から意識していた」と振り返り、さらにこう続ける。