レアル・ソシエダの強みはやはり…
そのソシエダの強みというのが、久保建英のいる右サイドだ。
9月のラ・リーガ月間最優秀選手に選ばれた久保は、もはやスペイン中から警戒される選手となっている。アトレティコも、当然ながら日本人への対策を怠らなかった。
ソシエダのビルドアップはアイエン・ムニョスとアンデル・バレネチェアのいる左サイドが中心。そちら側に人を集めたところでサイドチェンジをし、よりスペースのある状態で違いを作り出せる久保に勝負させるという狙いもあるだろう。実際、アトレティコ戦でも長いチェンジボールは何度か見られた。
しかし、アトレティコを前にそれは一筋縄ではいかない。守備時5バックを敷くアトレティコのイレブンは守備への切り替え、スライドが非常に早く、1人ひとりのポジショニングも良い。いわゆる5レーンすべてにおいて隙がなく、当然ながらボールホルダーへのアタック強度も申し分なかった。
ソシエダの核である久保にボールが入ると、左ウィングバックのリーノが素早く間合いを詰め、左インサイドハーフのロドリゴ・デ・パウルがそのカバーに回る。リーノの背後は左センターバックのマリオ・エルモソがフォローできるようになっており、縦、横、斜めすべてのコースを封じている。こうなると久保は勝負できず、味方のサポートにも期待できないままボールを失ってしまう。
実際、この日の久保は影を潜めた。前半終了間際にはピンポイントクロスからオヤルサバルの決定機を演出したが、目立ったのはそれだけ。ドリブルを5回仕掛けるも成功したのは1回で、シュート数も1本。キーパスは2本を記録したが、タッチ数41回でボールロストはやや多めの12回だった。あれだけの対策を受けながらということを考えると悪くはない結果だが、やはり普段に比べれば苦しかったのは事実だ(スタッツはデータサイト『Sofa Score』を参照)。
シメオネ監督も試合後には、久保やオヤルサバルへの対応という点に関して満足感のあるコメントを残していた。ここまで毎試合のようにハイパフォーマンスを示した久保にとっては、今季初めて壁にぶち当たったとも言えるような内容だった。