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Jリーグ 1年前

なぜ清水エスパルスは守り抜けたのか? ジュビロ磐田を完封「こだわり続けた結果」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

権田修一のとっさの行動がもたらした影響とは?



「チアゴ(・サンタナ)が頭をぶつけられた、ということでゴンちゃん(権田)がレフェリーを呼んで、試合をいったん途切れさせたんですよ。意図的にそうしたのかどうかはちょっとわからないですけど、試合が途切れたことで、何本目かはちょっと覚えていないですけど、あれだけコーナーが続いたなかで一度冷静になれた。チアゴも頭を打っていたので、もちろん危険だったというのもありますけど、あの場面に関しては、そういう時間の使い方をしてくれたのは本当に大きかったと思っています」

 中断した時間は1分あまり。それでも、清水の選手たちが思考をリセットするには十分な時間だった。88分にドゥドゥが放った右コーナーキックも、清水のゴールを脅かせない。さらに続いた右コーナーキックを再び遠藤が蹴った直後に、権田と接触した後藤のファウルを告げる笛が鳴り響いた。

 直接フリーキックを皮切りに、短い時間のうちに実に7度も繰り出された磐田のセットプレーがことごとく空砲に終わった瞬間、時計の針は89分を回っていた。直後に表示された6分のアディショナルタイムを含めて、もはや磐田がチャンスを生み出せない流れができあがっていた。

 リーグ戦で通算53度目、カテゴリーをJ2に限ればエコパスタジアムにて2-2で引き分けた、今年3月18日の明治安田生命J2リーグ第5節以来、2度目となる静岡ダービーは1-0のままタイムアップ。通算成績を21勝7分け25敗とした清水は、キックオフ前の時点で勝ち点1ポイント差の2位とひとつ上だった磐田を抜いて、J1への自動昇格圏となる2位へ浮上した。

 前回は磐田が2度にわたってリードを奪い、清水がともにサンタナのゴールで追いついて勝ち点1ずつを持ち帰っていた。一転して今回は、清水が10年ぶりとなるシャットアウト勝利で雄叫びをあげた。勝因を紐解いていけば、そのひとつとして連続7度のセットプレーを封じた終盤の攻防に行き着く。

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