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明治安田生命J2リーグ第38節、清水エスパルス対ジュビロ磐田が7日に行われ、1-0で清水が勝利している。清水は後半に訪れたいくつものピンチを耐え忍び、静岡ダービーを制してJ1自動昇格圏に浮上。その舞台裏で、ベテランの咄嗟の行動がチームに落ち着きをもたらしていたという。(取材・文:藤江直人)
「嫌だなと思っていた」ジュビロ磐田のセットプレー
めったに見られない攻防だった。右サイドの深い位置で、ジュビロ磐田が直接フリーキックを獲得したのが83分。ここぞとばかりに、磐田の横内昭展監督はボランチの上原力也に代えて、プレースキッカーのスペシャリスト、遠藤保仁を敵地・IAIスタジアム日本平のピッチへ送り出す。
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点差はわずか1点。このときは同点を狙う磐田も、大声援を背に受けながらゴールを死守せんと気合いを入れる清水エスパルスも、セットプレーが合計で7度も続くとは思ってもいなかったはずだ。当然のように、今シーズン最多の1万8871人で埋まったスタンドもヒートアップしていく。
ニアサイドを狙った84分の遠藤の直接フリーキックは序章だった。85分に左で、同じ85分に今度は右で、さらに86分には再び左でコーナーキックを獲得。すべてのキッカーを遠藤が担った。
それでもFWチアゴ・サンタナまでがペナルティーエリア内に戻り、全員で守る清水はゴールを割らせない。ただ、精神的に追い詰められつつあった。後半途中から出場していたDF吉田豊が振り返る。
「何回も何回も相手のコーナーが続いて、ちょっと不穏だな、嫌だなと思っていた」
磐田の波状攻撃はまだ終わらない。86分に再び獲得した右コーナーキック。ボールの質を変える狙いがあったのか。キッカーはMFドゥドゥに変わった。そして、ニアを狙ってきたドゥドゥのボールを身長191cmのFW後藤啓介と競り合いながら、サンタナが必死にクリアした直後だった。
西村雄一主審が連続5本目となる磐田の右コーナーキックを宣告した一方で、清水の守護神、権田修一がゼスチャーと大声を介して何かを訴えている。そして、西村主審だけでなく、清水のドクターやアスレティックトレーナーが清水のゴール前へ集まってくるなかで試合が一時中断された。
いったい何が起こっていたのか。ゴール前では競り合った際に、自身の後頭部と後藤の頭が激しく接触したサンタナが倒れ込んでいた。ニアでストーン役を務めていた吉田がこう振り返る。