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沈黙の前半から一変。三笘薫はなぜ躍動したのか?ブライトンが目を覚ました理由【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

マルセイユの策を上回ることができず



 相手のマルセイユは混乱の中にあった。

 フランスの名門は今季、マルセリーノ・ガルシア・トラルを新監督に迎え、新たなスタートを切った。しかし、マテオ・ゲンドゥージら数名の主力を放出したこと、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)予選で敗退し、リーグ戦では勝ち点の取りこぼしが目立ったこと(5戦2勝3分)もあって、ウルトラス(応援団体)の不満が爆発。パブロ・ロンゴリア会長を含むクラブ上層部は脅迫的に辞任を要求され、この影響でマルセリーノ監督が辞任するという最悪の事態が起きたのだ。その後クラブはジェンナーロ・ガットゥーゾを新監督に招聘。そこから約1週間で迎えたブライトン戦だった。

 それでも、とても混乱の中にあるとは思えないほど、選手たち士気は高く、準備もしっかりと行われていた。そして順調にいきすぎていると思うほど、ブライトンを苦しめている。

 ブライトンは相手を引き込んでからの攻撃を得意とするチームで、当然ながらガットゥーゾ監督もそれを理解していた。スタートは4-3-3だが、守備時はピエール=エメリク・オーバメヤンとホアキン・コレアを残した4-4-2を形成し、GKジェイソン・スティールにはあえてプレッシャーをかけず、中盤と最終ラインはマンマークで対応した。オーバメヤンとコレアは背中で相手のダブルボランチを消しながらセンターバックを監視し、CB間の横パスを基準にプレスのスイッチを入れている。

 これにブライトンは苦労した。ダブルボランチの一角であるマフムード・ダフードを最終ラインに落とすことでマルセイユの2トップに対し数的優位を作り出すという工夫は見られたが、前線がマンマークで付かれていることに変わりはなく、剥がす動きも少ないため縦パスを入れてもマルセイユの前向きな守備に遭う。前線に長いボールを蹴り込んでも、繋ぐことがベースにあるので、そもそも裏抜けの準備がチームとして成されていないこともあり、ことごとくマルセイユに跳ね返された。

 そのため、前半におけるブライトンの攻撃陣のタッチ数は、ダニー・ウェルベックが20回、アンス・ファティが22回、ソリー・マーチが23回、三笘薫がワーストの18回となっている。これは、支配率で10%も下回っていたマルセイユの攻撃陣とほぼ変わらない数字だ(データサイト『Who Scored』を参照)。なお、GKスティールの同タッチ数は誰よりも多い24回だった。

 それでも、後半に入りブライトンは2点を奪うことに成功する。

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