ヴァンフォーレ甲府を後押しした“チカラ”
「日本のサッカーファンの方々にも、ヴァンフォーレ甲府がどのようなクラブなのかを知ってもらう絶好のチャンスだと思っています。日本でも僕たちをよく知らない方が多いと思うし、だからこそ僕たちの戦い次第で、甲府がすごくいいクラブだと日本だけでなく世界に知れ渡っていく。僕たちはそうした責任を持って戦っていますし、責任を持って戦えること自体がすごく名誉だと思っています。なので、しっかりと自分たちのサッカーを貫いて、世界へ向けて甲府を発信していきたい」
ブリーラムとのホーム初戦を控えて、クラブ側も大々的なキャンペーン戦略に打って出た。東急田園都市線の渋谷駅地下2階、京王線の新宿駅改札内の2カ所にブリーラム戦を告知する、壁一面にまたがる巨大ポスターを設置。そこには選手たちの顔写真とともに、こんなスローガンが添えられた。
「Jサポに告ぐ #甲府にチカラを」
これに他のJクラブのファン・サポーターが呼応した。ブリーラム戦の観客数は1万1802人。あいにくの雨に降られた平日夜の開催だったにもかかわらず、ホームに水戸ホーリーホックを迎えた、先週末9月30日の明治安田生命J2リーグ第37節の6092人を大きく上回っていた。
国立競技場の甲府側のゴール裏には甲府のファン・サポーターだけでなく、各クラブのファン・サポーターがそれぞれのユニフォーム姿で集結。日本を代表してアジアに挑む甲府を応援した。ちょうど決勝ゴールが決まったサイド。長谷川の目にもクラブの垣根を越えた光景がはっきりと映っていた。
「リーグ戦とはまた違った喜びがありました。平日夜の国立でこれだけのファン・サポーターが入ってくれましたし、光景としては多分ありえないんですけど、他のチームのユニフォームを着たファン・サポーターも大勢見えました。サッカーを通していろいろな人が繋がっていく光景を見たときに、やっぱりサッカーはいいな、と思えました。実はどのぐらい入るのかがちょっと心配だったんですけど、ゴール裏の迫力もすごかったですし、最後にゴールを決めたときのスタントが、何て言うんですか……本当に一体になって手拍子してくれたときも、自分は鳥肌が立っていました」