アジアサッカー・AFCチャンピオンズリーグ(ACL) 最新ニュース
AFCチャンピオンズリーグ・グループステージ第2節、ヴァンフォーレ甲府対ブリーラム・ユナイテッドが4日に行われ、1-0で甲府が勝利した。記念すべき初勝利へとチームを導いた長谷川元希のゴールには、それに関わった選手たちの狙いが詰まっていた。J2勢初勝利を収めた甲府は、日本の首都で自らの価値を証明している。(取材・文:藤江直人)
「いったいどんな状況?」歴史を動かすゴール
歴史の扉を開けたヒーローがふと我に返った。試合終了間際の90分に待望の先制ゴールを決めて、雄叫びをあげながらゴール裏スタンド前へ疾走していったヴァンフォーレ甲府のMF長谷川元希が、自身をもみくちゃにして祝福する味方のなかに、本来ならばいるはずのない顔を見つけたからだ。
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「最後にシノさんがいたんですよ。監督が。いったいどんな状況、みたいな感じになったんですけど。なので、そっちの方にびっくりした、というのが大きいですね」
リードを奪ったとはいえ、後半アディショナルタイムとして4分が表示されようとしていた。タイの強豪ブリーラム・ユナイテッドが仕掛けてくる乾坤一擲の逆襲に備えて、国立競技場のピッチへ戻ってくる選手たちに指示を与えるはずの篠田善之監督までもがベンチを飛び出していたのだ。
「展開的に引き分けかなと自分のなかで思い、同時に相手のカウンターが危険だと感じていたときに元希のヘディングが決まって。もう頭のなかがちょっと真っ白になってしまって」
今シーズンから甲府の指揮を執る、地元の山梨県甲府市出身の指揮官が照れくさそうに先制した瞬間の心境を振り返る。前身の甲府サッカークラブでプレーした経験も持つ52歳はさらに続けた。
「みんながゴール裏のファン・サポーターの前へ行ったので、僕も元希のところへ行こう、と思って走っていったんですけど……なかなか追いつけなかったばかりか、ドクターやトレーナーにも追い抜かれて、自分のスプリントのスピードがなくてちょっとショックを受けています」
篠田監督が最後に長谷川のもとへ駆けつけ、熱く抱きしめた背景にはこんな裏話があった。甲府に関わるすべての人々を、それだけ狂喜乱舞させたゴールは、ある意味で必然に導かれていた。