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「言葉選びにミスがあったかも」シュタルフ悠紀監督が悔いたコンセプトの「間違った伝わり方」

text by 編集部 photo by Getty Images

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8月28日、AC長野パルセイロはシュタルフ悠紀監督を解任したことを発表した。就任2年目の今季は松本山雅FCとの信州ダービーに勝利し、J3優勝という目標に近づいたが、そこから大きく失速してしまった。「言葉選びにミスがあったかも」とシュタルフ元監督はコンセプトの間違った伝わり方を悔やんでいた。(取材・文:木崎伸也)

AC長野パルセイロのシュタルフ悠紀監督(当時)
【写真:Getty Images】


1年9カ月。長野を去ったシュタルフ悠紀

 歴史的勝利の先に待っていたのは、想像もしなかった解任劇だった。

 シュタルフ悠紀体制2年目となる今季、長野パルセイロは序盤において大躍進を遂げた。5月7日、天皇杯の代表決定戦を兼ねた長野県サッカー選手権決勝において、パルセイロは松本山雅にPK戦の末に勝利。信州ダービーにおける15年ぶりの勝利だ。

 そして5月13日に行われたJ3第10節において、2対1で松本山雅に勝利してダービー2連勝。Jリーグの舞台で松本に勝利するのは初めてのことである。パルセイロはJ3の首位に立ち、シーズン前に掲げた「J3優勝」という目標に向けて大きく前進した……と思われた。

 しかし、そこから大スランプに陥ってしまう。第11節に沼津に0対1で惜敗したのを皮切りに、リーグ戦は9試合勝ちなし(3分6敗)。第20節に相模原に1対0で勝利してトンネルを抜けたかと思われたが、その過程ですでに強化部は監督交代に動いていたのかもしれない。第22節に勝利したものの、第23節から2連敗するとシュタルフ監督は解任されてしまった。

 ダービー勝利でJ3の首位に立ってから解任されるまでわずか約3カ月――。いったい何が起こったのだろう? シュタルフにオンラインでインタビューを行った。

賢守の真意と「間違った伝わり方」

――解任直後でいろいろな思いを抱えていると思うのですが、まずは今季うまくいった部分から聞かせてください。J3の序盤戦では5-1-3-1と表せるような特殊な陣形をつくり、プレスがめちゃくちゃハマっていましたね。1トップ、1.5列目の3人、アンカーが十字架のような形をつくって中央を封鎖し、サイドにパスが出たら後ろからDFが猛ダッシュで上がってボールを奪う場面が何度も見られました。

「戦術の話をすると相当長くなりますよ(笑)。簡単に背景から説明すると、J3だけではなく日本サッカー全体に言えることなんですが、運動量を惜しまずボールを追いかけ、相手をサイドに追い込んでミスを誘うという守備が主流だと思うんですね。

 これだとアタッカーに負担がかかり、攻撃に転じた際に心拍数が上がったままになってしまい、どうしてもフィニッシュの質が落ちてしまう。昨季のパルセイロもまさにそれに苦しみました。

 こういう守備をしながらたくさんゴールを決めるには、(YS横浜で一緒だった)浅川隼人(現奈良クラブ)のように心拍数が上がった状態でもゴールを確実に決め切れるフィニッシュの質が高いFWが必要不可欠であり、勝ち続けるためには多くのチャンスが必要になる。でも最近は5バックで後方を固めるチームが増えてきた。4バックのチームも先制したら最後は5バックにする場合もある。運動量頼みの守備では、優勝や昇格に手が届かないと考えました。

『走って戦って頑張るサッカー』は見た目の印象はいいんですが、いい試合をしているけどあと一歩届かないサッカーになる恐れがある。そこで今季、『賢守』というキーワードを掲げ、賢く守るサッカーを志向しました。

 ただし、『賢守』といっても走らないで奪うわけではないですよ。適切な場面でスプリントや運動量を効率的に使うということ。一部の方には 『走らないで奪う』という間違った伝わり方をしてしまったようで、チームが批判される1つのエラーになってしまったかもしれません。

 走行距離のスタッツを見ると、パルセイロはJ1のチーム以上に走っていたんですよ。なのに『走らない』という印象を与えてしまったのは、『賢守』という言葉選びにミスがあったかもしれません」

【この記事はインタビューを一部抜粋したものです。記事全文では序盤の躍進につながった「賢守」のメカニズムや、パルセイロサポーターへの感謝、指揮を執った1年9か月の反省と後悔などについて、シュタルフ悠紀元監督が本音を明かしています】

【了】

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