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Jリーグ 1年前

「ヴィッセル神戸」を取り戻した180分。“らしさ”を思い出させた2つの宝刀とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「連敗は許されない」



「連敗するチームは、必ずしも優勝できるチームではない。チーム全体でそう奮い立たせてきました」

 セレッソに屈するようなら、悲願の初優勝を狙える力を持ったチームではない。プレッシャーを力に変えて、さらに佐々木が切り込み隊長を担い、最少得点差ながら内容的にはセレッソを圧倒した神戸に新たな合言葉が生まれた。それは「優勝を狙う上で、シーズンで同じ相手に連敗は許されない」だった。

 ホームにマリノスを迎えた4月22日の第9節。神戸は2点のリードを奪いながら、マリノスに3連続ゴールを奪われる逆転負けを喫していた。舞台を敵地・日産スタジアムに変えて160日ぶりに相まみえる一戦は、負ければ首位の座を明け渡す以上に重要なテーマを持っていたわけだ。

 文字通りの天王山で、飯野が新たな切り込み隊長を拝命した。期待に応えて今シーズンの公式戦で初めて先発フル出場を果たし、冒頭で記した出色のスタッツを残した飯野は、マリノスのストロングポイントである左サイドを沈黙させた90分間を、前節の佐々木と比較しながらこう振り返った。

「誰を、というよりは、しっかりと中を閉じながら、外に出たときに圧力をかけていくスピード感が僕の武器ですし、そこの強度は他の選手には真似できないところだと思っています。彼(佐々木)と僕とではちょっとタイプが違うというか、彼は体の強さやボールを収める技術の高さで(毎熊を)封じ込めていましたけど、僕は走力や圧力など、ちょっと違った形で同じようなタスクを担えたのかな、と。できれば攻撃面でも圧力をかけたかったですけど、最低限の仕事はできたかなと思っています」

 キックオフからフルスロットルで、がむしゃらにプレーする飯野の背中は、周囲をけん引する役割をも担った。後方の右サイドバックで、飯野と縦のラインを形成した酒井は言う。

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