「僕たちの良さは何か」「下がるだけが守りじゃない」
「佐々木の身体の強さとキープ力で、相手チームの特長を消したかったのと、守備も上手いので左で使いました。期待以上の活躍をしてくれたし、これぞ神戸、という試合ができたと思っています」
指揮官が満足そうに口にした「これぞ神戸」とは何なのか。答えは期待に応えて毎熊を封じ、59分には縦パスに抜け出して決勝ゴールも決めてヒーローになった佐々木の言葉に凝縮されている。
「正直、最近は先に失点する試合が多かったんですけど、そのなかで失点をしない、という部分を考え過ぎて、後ろ向きになっていたとチームのなかで話していました。自分たち発信で守備、自分たち発信で攻撃をしよう、と。デュエルで勝たないと、チームのリズムはよくならない。なので、僕個人のデュエルが求められての起用だったと思うので、合格点ぐらいはあったんじゃないかなと」
佐々木のゴールをアシストしたDF初瀬亮も、原点回帰こそがすべてと力を込めていた。
「決して綺麗な試合ではなかったかもしれない。それでも、僕たちのよさは何か、というところをもう一度実践できた試合だと思う。先に失点する試合が続いていたなかで、下がるだけが守りじゃない。やはり前から行く、というのが自分たちの持ち味だと思うので。それを気持ちで前面に出せました」
前半途中に齊藤が負傷退場した柏戦を皮切りに、FC東京戦、京都サンガF.C.戦、サンフレッチェ広島戦と神戸はすべて先に失点していた。時間帯はすべて前半。京都には何とか逆転勝ちしたが、柏とFC東京とは引き分け、開始7分に先制された広島には最終的に0-2で完敗を喫していた。
マリノスも歩調を合わせるように勝ち点を伸ばせなかった状況で、神戸はかろうじて首位をキープしていた。そのなかで迎えたセレッソ戦で、神戸は実は大きなプレッシャーを乗り越えている。この時点で5敗を喫していたが、連敗は一度もなかった。守護神の前川黛也がこんな言葉を残している。