4年前と変わらない久保建英の意識
久保はまたしてもマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)に選出された。もはや驚きはない。毎試合のようにハイパフォーマンスを披露しながらなかなかMOMを獲得できない守護神レミロが気の毒だが、今の久保は少しレベルが違いすぎる。
各チームによる久保への警戒レベルはマックスと言っていいだろう。ビルバオも左WGに入ったN・ウィリアムズがかなりのペースで帰陣し、左サイドバックのユーリ・ベルチチェのカバーに入るなど、警戒を怠らなかった。
それでも久保は、今季開幕からずっとハイパフォーマンスを示している。どこかで勢いがなくなっても不思議ではないが、今のところそれがない。相手がレアル・マドリードだろうがインテルだろうが、久保の存在は消えなかった。
その理由は22歳らしからぬ引き出しの多さだろう。外でも中でもプレーでき、持ち味のドリブルを封じられてもアマリ・トラオレやブライス・メンデスを上手く使いながらゴールに迫ることもできる。だからこそ、相手に対策されても、柔軟にそれを上回ってしまう。それがダメならこれ、これがダメならあれ…。久保は後出しジャンケンで勝ち続けている。
2019シーズンのJ1リーグ、湘南ベルマーレ対FC東京戦で、久保は得意のドリブルをほとんど見せず、ワンタッチやツータッチのパスを心掛けていた。その点について試合後に「人がドリブルするより(パスの方が)ボールが前に進むのが速い」とコメントを残していた。
個がどうこうではなく、チームとしていかに効率よくゴールに迫れるか。プレークオリティーは明らかに向上したが、久保の意識自体は、4年前とほぼ変わっていないように思う。それが上記した引き出しの多さにもつながっているのではないだろうか。
(文:小澤祐作)