「激しさ」を見せた山根陸
「ACLの戦いを終えてから、全員で鹿島戦だけを見て準備してきました。順位的なところを見ても間違いなくいままでとは違うプレッシャーがあったし、本当に大きなゲームだったと思います」
仁川戦をリザーブのままで終えた山根も、鹿島戦の意義をひしひしと感じていた。勝利にかける思いは球際の激しい攻防にも反映される。たとえば41分。右タッチライン際でパスを受けた鈴木を松原と前後ではさみ込み、ボールを奪った直後に鈴木からファウルを受けてピッチに転がされた。
中村太主審が鈴木にイエローカードを提示した直後。立ち上がった山根は、臆することなく鈴木をにらみつけている。わずか2分後にも2人は再び右タッチライン際で対峙。このときは鈴木が転ばされるもファウルの対象にはならず、マリノスボールのスローインに鈴木が不満を募らせた。
「まあ、いつも通りですけど……今日はあたっていたのかな、という感じです」
球際での激しさを問われた山根は苦笑いを浮かべながら、最小失点に抑えた守備を振り返った。
「今日は前線の選手がファーストディフェンスのところでハードワークしてくれて、鹿島の選手たちのポジショニングもあったと思いますけど、ある程度、狙いや方向も限定できていた、というのがあります。それほどいつもと変わったことをしたつもりはないですけど、自分とナベくんのところへけっこうボールが入ってくる、というのを自分でも感じていたので、なおさらアンテナを張っていた感じです」
ある意味でボランチの“ひらめき”が、試合結果でも明暗をわけた大一番。9月に復帰を果たした後で初先発を果たすも後半から疲れが目立ち、70分に交代を告げられた柴崎岳は試合後にこう語った。