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Jリーグ 1年前

山根陸が見せる賢明さと勇敢さ。横浜F・マリノス逆転勝利は「あの30分が大きかった」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

横浜F・マリノスのボランチ像



「ボランチのところからでも、相手のゴール前へ入っていく動きはすごく大事だと思っています。リスクを冒す分だけ、もう一人のボランチが必ずバランス取る、というところはチームとしての約束事なので、あの場面ではそれをうまく表現できたのかな、と思っています」

 山根の言葉通りに、ダブルボランチを組む渡辺皓太が鹿島陣内の中央にポジションを取り、前後左右をケアする態勢をしっかりと整えていた。山根はさらにこんな言葉を紡いでいる。

「そこはやはりボランチに求められるところだと思いますし、こういうフットボールをしていくなかで、リスク管理やトランジションというものは必ずキーになってくる。僕だけじゃなくてナベくん(渡辺)、喜田(拓也)くんも同じですけど、そこはこのチームのボランチとして求められる部分だし、もっともっと成長させていきたい部分でもあるし、今後も続けてやっていきたい部分ですね」

 首位のヴィッセル神戸が前日23日にセレッソ大阪を1-0で下し、勝ち点を55に伸ばしていた。鹿島戦のキックオフ前の時点で、マリノスとの勝ち点差は4ポイント。勝てば再び1ポイント差に肉迫し、負ければ神戸の背中が遠のくばかりか、鹿島にも2ポイント差に追い上げられる。

 連覇へ向けた文字通りのビッグマッチ。開始直後から主導権を握ったのは鹿島だった。

 鹿島の2トップ、ゲームキャプテンの鈴木優磨と垣田裕暉が巧みにポジションを取り、ダブルボランチを経由したマリノスのビルドアップを封じる。最終ラインからボランチを飛び越したパスを送れば、植田と関川郁万のセンターバックを中心にはね返し、カウンターを中心に攻め込んでいく。

 15分には右コーナーキックから、鈴木にヘディング弾を決められて先制を許す。カシマスタジアムでは今シーズンで2番目に多い、2万7463人の観衆のボルテージがさらに上がった状況でも、マリノスの選手たちは平常心を失わなかった。大一番を戦う上での覚悟を、山根はこう明かしている。

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