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Jリーグ 1年前

山根陸が見せる賢明さと勇敢さ。横浜F・マリノス逆転勝利は「あの30分が大きかった」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

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明治安田生命J1リーグ第28節、鹿島アントラーズ対横浜F・マリノスが24日に行われ、1-2でマリノスが勝利した。ボランチでリーグ戦3試合続けて先発起用されている山根陸は状況を見極めながら臨機応変にポジションを変え、逆転勝利へとチームを導いている。(取材・文:藤江直人)


「感覚ですね」ゴールを演出した山根陸

敵地で鹿島アントラーズに勝利した横浜F・マリノス
【写真:Getty Images】

 ゴールへの予感に導かれるように、8月に20歳になったばかりの横浜F・マリノスのボランチ、山根陸は鹿島アントラーズのペナルティーエリア内の右側へ侵入していった。

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 敵地・県立カシマサッカースタジアムに乗り込んだ、24日の明治安田生命J1リーグ第28節。キックオフ前の時点で2位のマリノスに対して、鹿島が勝ち点5ポイント差の4位。今シーズンの優勝戦線を大きく占う上位陣による直接対決が、1-1のまま50分を迎えようとしていたときだった。

 鹿島のDF安西幸輝のクリアを、先に落下点に入った山根が頭で右サイドバックの松原健につなぐ。中央付近にポジションを取っていた松原は、すかさず前方のFWアンデルソン・ロペスへパス。さらにロペスが、自身の右側に開いていたFWヤン・マテウスへボールを預けた。

 マリノスが二次攻撃を仕掛けていった過程で、センターサークル付近にいた山根も意図的に鹿島ゴールとの距離を縮めた。そして、マテウスのリターンを受けたロペスが、ペナルティーエリアの外から利き足の左足を一閃。強烈なシュートはしかし、DF植田直通の頭部に当たってはね返った。

 次の瞬間、真っ先にこぼれ球を拾ったのは山根だった。

「あまり覚えてないんですけど、多分、感覚ですね」

 攻撃参加した場面を苦笑しながら振り返った山根だったが、ペナルティーエリア内では誰よりも冷静沈着だった。4人もの鹿島の選手に囲まれながら切り返し、さらに右足でシュートフェイントを入れる。これに虚を突かれたのか。山根をマークしていた鹿島の選手たちの足が一瞬だけ止まった。

 すかさず山根がマテウスにボールを預ける。しかも、マテウスが次のプレーに移りやすいように、利き足の左足へ丁寧なパスをつけた。そして、主導権を握ったマテウスが角度のない位置からシュート。鹿島のGK早川友基が横っ飛びでセーブしたこぼれ球を、ロペスが右足のボレーで押し込んだ。

 山根がリスクを冒して相手ペナルティーエリア内へ侵入し、数的不利な状況をはね返さなければ、もしかすると生まれていなかったかもしれない逆転ゴール。山根は「あまり覚えていないんですけど……」と今度ははにかみながら、ダブルボランチの一角が攻め込んだ意義を振り返った。

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