レアル・ソシエダの不安は相変わらず…
バルセロナやレアル・マドリードすらも嫌がるヘタフェとの乱打戦を制し、オヤルサバルが2ゴール、B・メンデスも昨季前半戦のような怖さを示すなど、この試合の収穫は確かにあった。しかし、ソシエダが抱える不安も、この試合でより顕著になったと言える。
その不安は、やはり主力とベンチメンバーのクオリティーに差がありすぎることだ。先述の通り、サディク、ウルコはまだまだチームに貢献できるレベルではない。ターンオーバーしたとはいえ、結局はレギュラー陣で勝ち点3をもぎ取ったようなものだった。
スペイン紙『マルカ』も「スターターへの依存とローテーションへのリスクが再びアノエタに漂った」と選手層について指摘している。この日は窮屈だった前半にリードを奪われながら、後半の選手交代によりなんとか打ち合いを制した。しかし、そのような戦い方がいつもできるわけではない。ローテーションへのリスクとは、そのことを指しているのだろう。
過密日程の中でアルグアシル監督が主力メンバーに少しでも休みを与えたいと考えるのは至極当然のことだ。問題は、その期待に応えられない控え選手たちにある。
しかし、この試合で明らかになった通り、レギュラー陣で成り立つ4-3-3にそのまま控えメンバーをはめ込むことは難しい。ウルコにスビメンディのような働きはできないし、トゥリエンテスとメリーノはタイプが違いすぎる。サディクはソシエダの武器である両WGを生かすのではなく、自分が主役になりたいタイプで、これもまたオヤルサバルとはキャラクターが違う。
たとえば、ターンオーバーを採用した際にはポゼッションを捨て、カウンター狙いにシフトしたりというような、メンバーにあったプランを持ってもいいのかもしれない。もちろんベースを貫くことで連係面などが成熟することはあるが、選手によってクオリティーに差がありすぎる現状、アルグアシル監督は臨機応変な対応を見せなければならないだろう。
(文:小澤祐作)