アーセナルが圧倒できた理由
端的に言うと、アーセナルにとってPSVはプレーしやすい相手だった。
PSVのピーター・ボス監督は“超攻撃的サッカー”を志向していることで知られ、今季のリーグ戦でも開幕4試合で13ゴールと得点を量産している。選手の質で押し切れる国内リーグであればあまり気にはならないが、攻撃的な一方で守備面の戦術的な引き出しはかなり少なく、彼が過去に率いたドルトムントなどではディフェンスが崩壊して解任をされている。
守備の構築が甘いがために相手の方が選手の質で上回るとなると苦戦をする傾向にあり、過去のCLでは、今節の前の時点で2勝2分8敗と大きく負け越している。それはアーセナル相手でも同じだった。
8分のサカのゴール、20分のトロサールのゴールはいずれもアーセナルからすれば右サイド、PSVからすれば左サイドから生まれている。ボス監督はこのサイドにセルジーニョ・デストを置いた。彼はどちらかと言えば守備を苦手としている選手であり、アーセナルからすれば崩すのが容易な相手だった。
では、アーセナルは具体的にどのような狙いを持って相手守備陣を崩壊に導いたのだろうか。