インテルを苦しめた攻守の狙い
後半途中までのソシエダはパーフェクトだったと言っていい。とくに素晴らしかったのが、ハイプレスの強度とその連動性だ。
3バックでビルドアップするインテルに対し、ソシエダは3トップをそのままぶつけている。そしてセンターバック2枚+マルティン・スビメンディを最終ラインに落とすことでインテルの2トップに対して数的優位を保ち続けると同時に、相手のウィングバックに対してサイドバックが出て行きやすい構造となっていた。SBが後ろに残っていれば、スビメンディも高い位置からプレッシャーをかけるなど、インテルに隙を与えなかった。
ソシエダは試合開始わずか4分で先制ゴールを奪うが、大きな要因となったのがやはりハイプレスだった。低い位置でパスを受けたアレッサンドロ・バストーニがもたついたところをミケル・オヤルサバルとブライス・メンデスで捕まえ、最後はボールを奪ったB・メンデスがそのままシュートを突き刺している。バストーニのミスだが、それを逃さなかったソシエダが素晴らしかった。
インテルは失点シーンを含め、ビルドアップに相当苦労した。ボールをつなげないだけでなく、セカンドボールも拾えない。ハカン・チャルハノールやフェデリコ・ディ・マルコら、複数の主力が先発から外れていた影響も多少はあるはずだが、それにしても酷い内容と言わざるを得なかった。
『Amazon Prime Italia』のインタビューで試合を振り返ったエースのラウタロ・マルティネスも「ハイプレスのチームと対戦したが、スペースへの攻撃が十分ではなく、何度もオフサイドにかかった。この種のチームと対戦するのは常に難しい」と苦戦を認めていた。
守備で優位に立ったソシエダは、攻撃もしっかりとデザインされていた。アンデル・バレネチェアのいる左サイドから攻撃を組み立て、決定的な仕事を果たすことができる右の久保建英にはよりゴールに近い位置でのプレーに専念させている。そのため久保のタッチ数は普段と比べ少なかったが、左WBのカルロス・アウグストに高い位置を取らせない意味でも背番号14の存在は重要だった。
左に人を集め、右で完結させる形がハッキリと表れたのが51分の場面だ。左から組み立てたソシエダは一度ボールを失うも、スビメンディが奪い返して前進。この時インテルは右サイドに人を集めていたため、ソシエダの右サイドにはスペースがあった。スビメンディ→アマリ・トラオレを経由し、最後は久保に渡ったことでフィニッシュに持ち込んでいる。
しかし、上記の通り攻守において明確な狙いをもっていたソシエダだが、勝ち点3を奪うことは叶わなかった。またも、同じ過ちを繰り返した。