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Jリーグ 1年前

「特別な気持ち」香川真司と柴崎岳の数奇な運命。2人に共通する「僕が帰ってきた意味」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

1人少ない鹿島アントラーズが優先させたのは…



「随所に香川選手……真司さんらしいプレーを見られた。あらためて尊敬すべき選手だと思いました」

 キックオフ前の時点で4位のセレッソを、勝ち点2ポイント差の6位で追う鹿島。残り8節となった今シーズンの上位生き残りを直接対決は、開始13分に意外な形で動いた。

 最終ラインに降りて、鹿島の選手に背を向けた体勢でビルドアップのパスを受けたセレッソのボランチ、喜田陽が見せた隙に狙い定めたのは鹿島のゲームキャプテン、FW鈴木優磨だった。

「うまく相手の死角から入って、落ち着いて決めることができた」

 勝利の余韻が残るなかで行われたヒーローインタビュー。喜田のトラップがやや大きくなった直後に、鋭いチェックからボールを奪取。そのまま前へ出て迷わずシュートを放ち、対峙したGKヤン・ハンビンの股間を射抜く技ありの先制点を決めた場面を鈴木が振り返った。

 しかし、25分に流れが一変する。セカンドボールを巡り、ディエゴ・ピトゥカと喜田が激しく交錯した直後にVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入。OFR(オン・フィールド・レビュー)を行った岡部拓人主審が、ピトゥカの著しく不正なプレーを確認して一発退場を宣告した。

 場内が騒然となったなかで、判定に異議を唱えた鹿島の岩政大樹監督に警告が与えられる。さらに混乱が続いたなかで、暴言を吐いた鹿島の笠井健太通訳もレッドカードで退場になった。

 一触即発の雰囲気が漂い始めた展開で、岩政監督はピトゥカが退場したボランチに右サイドハーフで先発していた樋口雄太を配置。さらに2トップの一角だった垣田裕暉を右サイドハーフに回す[4-4-1]システムのもとでブロックを形成して、守りを優先させる戦い方を選択した。

 ただ、岩政監督は試合後のフラッシュインタビューでこんな言葉を残している。

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