1-0勝利でも盤石だったと言える理由
それでもアーセナルは後半にギアを上げて勝利を収めている。
オープンプレーでの攻撃は90分間を通してエバートンのブロック守備に苦しんだが、ショートコーナーから相手のマークのズレを作り出してゴールをこじ開けた。
この得点の場面で注目したいのがアシストしたサカとゴールを決めたトロサールの動きである。エバートンはゴール前を固める傾向にあるため、マイナスのクロスが通りやすい。サカとトロサールはこのことを理解しており、マイナスへの折り返しからブロックをすることが難しいコースにシュートを流し込むことで試合の均衡を破る一撃を決めてみせた。
先制さえしてしまえばアーセナルの勝ちゲームだ。エバートンのオープンプレーからの唯一の崩しの手であるカウンターは、ウィリアン・サリバとライスという被カウンター守備を得意としている選手たちがクリーンにシャットアウト。そして彼らが得意なセットプレーのチャンスもほとんど与えず、CKは1度しか与えなかった。
この守備対応はアーセナルが圧倒的にボールを持ちながらもセットプレーに泣いたグディソン・パークでの前回対戦の反省を生かしたものだろう。不用意なファウルとCKを献上しないことで、エバートンの強みを消していた。
今節もアルテタのチームはこれまでと同じく、1点差での接戦だったが、相手の攻撃の手札を消したことで危なげなく勝ち点3を積み上げることに成功した。
難しいゲームであっても勝利することができるのは、ある意味で強いチームの証拠だと言える。今季3度目の1点差ゲームを勝利したアーセナルと、今季3度目の1点差ゲームでの敗北を喫したエバートンには、スコア以上に大きな差があった。