サッカー日本代表が必要とする新たなオプション
後半から伊東純也が入ったことで、右からのクロスボールが増える。横からのラストパスに対して卓越したポジションをとれる古橋亨梧にとってはチャンス到来だったが、前田大然からのロークロスにDFの背後から足を出してポストに当てたシュートが最もゴールに近づいた瞬間だった。久保、伊東のスルーパスからの抜け出しはシュートを阻まれ、カウンターで独走しかけたときはファウルで止められてノーゴールに終わった。
65分からの約10分間、トルコ代表が立て続けにチャンスを作るが、負傷した中村航輔に代わったGKシュミット・ダニエルが防ぐ。ミドルゾーンのブロックはすでに後退してしまっていた。
追いつかれそうな雰囲気が出てきたところで、伊東が個で勝負をつける。猛烈なスピードドリブルで自陣から一気に駆け上がり、ファウルを誘ってPKを得た。伊東が自ら決めて4-2と突き放す。完全に個人能力による得点だった。
このゴールで、用意していた三笘薫ではなく冨安を投入。スコアは変わらず欧州遠征を2連勝で終えた。
ベストメンバーが揃ったときは機能性の高い守備力、鋭いカウンターアタックで、強豪国とも十分に戦えそうな力は示せた。一発勝負なら、ワールドカップ優勝を狙うチームに勝利することも可能かもしれない。
ただ、日本代表はまだ1つの戦い方で可能性を示しただけで、48チームに増える2026年大会では守備を固める相手との対戦も考えられる。森保一監督の「良い守備から良い攻撃」に象徴される守備ベースの戦い方だけでなく、「良い攻撃から良い守備」のオプションも必要になるだろう。ともあれ、ここまでの強化は順調。強豪国に伍する日本を印象づける2試合だった。
(文:西部謙司)
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