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久保建英 1年前

久保建英、やっと見つけた最高の相棒。武闘派でも自己中でもない、器用な男とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

ようやく出会った!? 久保建英の理想的な相棒


【写真:Getty Images】



 久保がこれほどの活躍を披露できるのは、他でもない、個の能力が極めて高いからだ。今季の開幕3試合、チームが苦しんでいる中でも背番号14はレベルの違いを見せつけていた。ソシエダにはスペイン代表(最新メンバー)が3人いるが、そんな彼らを抑えてのことである。

 しかし、グラナダ戦の大活躍は、決して個の能力だけで成り立ったものではない。右サイドバックに入ったアマリ・トラオレの献身的なサポートは、久保が輝きを放つ上で必要不可欠だった。

 今季レンヌからフリーでやってきたトラオレは、開幕戦から久保と良い連係を見せていた。馬力のある縦への推進力が魅力だが、「自分が自分が」というタイプではなく、久保を生かすことを徹底している。だからこそ、無駄に仕掛けることはしないし、シンプルに久保につけるところはつける。なにが相手にとって一番厄介なのかを、しっかりと理解しているのだ。

 久保の2点目のシーンは、トラオレの良さが出ていた。セカンドボールに反応するとダイレクトで久保に渡し、自身は縦に走ってDFを引きつける。それによって久保のカットイン&シュートコースができあがった。当然のように、トラオレはパスが出てこなかったことに対し不満を示すことはなかった。久保にとっては、理想的な形だったのではないか。

 5点目にもトラオレは絡んでいる。カウンターが発動すると一気に久保を追い越し、パスを呼び込む。最後はペナルティーエリア脇でフェイントを駆使しながらクロスを上げきった。結果論にはなってしまうが、トラオレの縦への抜け出し、深さをとる動きがあったからこそ、最後に久保がボックス内マイナスでフリーになることができたと言える。

 久保はこれまで、縦関係を築く右SBにあまり恵まれてこなかった。ヘタフェのダミアン・スアレスは典型的な武闘派で攻撃面の質が低く、マジョルカのパブロ・マフェオは独善的なプレーが目立った。ソシエダではアンドニ・ゴロサベルやアリツ・エルストンドと関係を築いたが、彼らはいずれも守備的であり、DFを引きつけるような追い越しには期待ができなかった。

 そういった意味でも、トラオレは器用だ。久保がようやく出会った、最高の右SBと言っていいかもしれない。

(文:小澤祐作)

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