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なぜハフェルツは精彩を欠いたのか?アーセナルの本質的な問題と逃げ切り失敗の責任【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 竹内快 photo by Getty Images

不必要に思えるライスの動き



 また試合を通して、ライスが不必要と思えるほど最終ラインまで下りてきていたのも攻撃が停滞した原因の1つだろう。ライスが“いるべきポジション”=アンカーの位置にいない場面が多くあり、インサイドハーフのハフェルツ、ウーデゴールはポジションの修正を迫られ、高い位置を取ることができなかった。これにより両ウイングのサカ、マルティネッリも通常より低い位置を取らざるをえず、ライスの動きが他の選手のポジショニングに悪影響を与えてしまった可能性が高い。

 アーセナルは守備的ミッドフィルダーを本職とするトーマス・パーティを右サイドバックとして起用し、攻撃時に中盤でビルドアップに参加させていた。展開力に秀でたパーティが攻撃時に中盤に入ることで、安定したビルドアップを行うことが可能になる。ライスは最終ラインに降りるのではなく、フラムFWのプレスを回避するポイントとして中盤の底に留まるべきだった。

 今回の試合で露呈した、「連携ミス」による攻撃の停滞を改善しなければ、これからさらに苦しい戦いを強いられることになるだろう。様々なポジションでマルチに活躍できる選手が増えた結果であるともいえるだろうが、アルテタはまだスカッドの“最適解”を見出せていない。

 打倒マンチェスター・シティの筆頭候補として、アーセナルは自分たちが昨季よりも完成度の高いチームであることを示す必要がある。昨季3位のマンチェスター・ユナイテッドをホームに迎える次戦、アルテタは現状を打破できるか注目だ。

(文:竹内快)

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