離脱期間に感じたこと「偶然じゃなく必然に」

「勝てない状況が続く中で、誰か1人がアクセントになれればちょっとした変化がもたらされるし、チーム状態も上向きになると思っていた。外から見ている時には近いポジションの選手にアドバイスもしたりしていたけど、自分が戻った時には外から見ていた感覚を持ち込んで、周りの選手に伝えたいと考えていました。

　そして今、試合に出るようになったけど、ピッチの中で”違い”を作らないと結果に直接関与するプレーはできない。それを偶然に行うんじゃなくて、必然的に行えるような実力やポジショニングを取っていければいい。そう思いながらやっています」

　長く共闘した森島が去ったことで近くでプレーする人間が変わった。新加入選手とすり合わせ作業を進めながら、勝利に直結するゴールやアシストをするのはそう簡単なことではない。それでも、満田は「マルコスと陸次樹君は2人とも相手にとって脅威になる選手。自分が前を向ける状態を作ってあげたらいいし、僕もパスを引き出せるポジションを取れたらいい。相乗効果を出していきたい」と生かし生かされる関係性を築こうと必死に取り組んでいるという。

　そういうトライが徐々に形になっていけば、目に見える結果も増えてくるはず。長い欠場があった分、今季当初に掲げていた2ケタゴールという目標は難しいだろうが、満田自身ができる限り数字を引き上げ、広島の順位を上げていくことも可能になる。

　目下、彼らは25節終了時点で勝ち点38の7位。上位2チームとは10ポイント以上離れているが、1つ1つ確実に戦って差を詰めていくしかない。完全復活した満田にはキーマンとして、より影響力を高め、怖さを発揮していってほしいものである。

（取材・文：元川悦子）