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久保建英 1年前

なぜ下げた? 報われない久保建英。壊滅的なレアル・ソシエダが陥る深刻な事態【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

流れが来ていた中での“お決まり交代”



 後半もビルドアップが機能していたとは言い難かったが、チャンス自体は増えていた。ソシエダはハーフタイムで守備のやり方を変え、ラス・パルマスを上回ったのである。

 ソシエダは立ち上がり、インサイドハーフのB・メンデスを一列前に押し出した4-4-2の守備陣形を組んでいた。しかし、これがハマらず、途中から左WGのアンデル・バレネチェアを中に絞らせ、左SBのアイエン・ムニョスを前に出し、最終ライン3枚を左にスライドさせる形で対応していた。前者よりも攻撃的になったことで、ラス・パスマスのボール保持を難しくさせたのである。

 そしてアルグアシル監督は、後半に入り、久保を左CBのミカ・マルモルに当て、右SBのA・トラオレを一列前に。そして、残った後ろ3枚を右にスライドさせる守備陣形を採用した。後半より左WGに入ったミケル・オヤルサバルよりも、久保の方がその役割をうまくこなしてくれるからだろう。

 ラス・パルマスはアグレッシブなソシエダの守備を受けてたまらずボールを敵陣に蹴り込んだ。立ち上がりからエンジン全開だったため体力の消耗が激しく、セカンドボールを拾えない。前半にあったコンパクトな守備は崩れ、ソシエダにスペースを与えるようになっていた。

 前半はシュート1本に留まったソシエダだが、後半は20分も経たないうちに3本のシュートを放った。74分には久保の絶品クロスからマルティン・スビメンディがフリーでヘディングシュートを打つなど、最大の決定機も作っている。

 しかし、アルグアシル監督は流れが確実に来ていた中で、75分に久保を下げ、モハメド=アリ・ショーを投入。お決まりの交代だった。

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)も控える中、怪我の防止や疲労蓄積を抑えたいという意図は理解できるが、ソシエダはこれで勝ち点3の可能性を失ったと言わざるを得ない。もちろん久保がピッチに残っていれば勝利できたという保証はどこにもないが、久保が最大の脅威だったことは明らか。これまで久保→アリ・ショーの交代で流れを引き寄せた例は決して多くなく、やはりラス・パルマス戦も選手入れ替えの効果は発揮されていなかった。

 怪我をされたら困る。“お決まりの交代”はそれだけ久保が重要な存在になっていることの表れでもあるが、勝てていない現状は、ある程度のリスクを背負うことも必要かもしれない。

(文:小澤祐作)

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