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久保建英 1年前

なぜ下げた? 報われない久保建英。壊滅的なレアル・ソシエダが陥る深刻な事態【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

悲惨な前半。久保建英のシュートまでにかかった時間は…



 ジローナ戦、そしてセルタ戦は前半で先制ゴールを奪うことができたが、ラス・パルマス戦の前半は見ていられないほど悲惨なものだった。アルグアシル監督も「前半は非常に悪かった」と認めている。

 結論から述べると、ビルドアップが壊滅的だった。今に始まったことではないが、それでも過去最低レベルと言っても過言ではないほどだ。

 この日も4-3-3を採用したソシエダは、基本的にこの陣形を維持したままボールを保持していた。ただ、時折右サイドバックのアマリ・トラオレが内側に絞り、右センターバックのイゴール・スベルディアが開くことで、3-2-2-3のような形でビルドアップを進めることもあった。4-4-2の守備陣形を築くラス・パルマスを前に最終ラインと中盤で優位性を生み出し、ストロングポイントであるウィングをより生かしやすくするという狙いがあったのだろう。

 インサイドハーフのミケル・メリーノとブライス・メンデスは、陣形に関係なく必要以上に下がってボールを受けることはしなかった。相手を留めておくという意味でも、できるだけ高い位置でプレーさせるというアルグアシル監督のメッセージと予想できる。

 しかし、工夫こそ見られたものの、4-3-3でも3-2-2-3でもビルドアップが機能しないことに変わりはなかった。ボールの受け手はほとんどが捕まえられ、CBは縦にパスを差し込めない。タッチライン際に逃げても高い位置を取るインサイドハーフとの距離が遠いため詰まることがほとんどで、強みであるWGに良い形でパスが入ることはなかった。

 マークに付かれている状態でパスを受け、ドリブルで剥がせていたのは久保くらい。ほとんどの選手が相手の前向きな守備を前にボールをロストし続け、ショートカウンターに繋げられていた。30分時点でラス・パルマスのシュートは5本。対してソシエダはファーストシュートに至るまで33分も費やしていた。

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