中島翔哉は「ヴェルディっぽい」

「ワンテンポ、ズレたところで中に入った。先に慎三さんが動いていて、それによってDFがリアクションしたことでスペースが見つけられたので、いいタイミングだったと思います」

　序盤の失点で困惑する理文に対し、浦和は畳みかける。先制点から3分後、再び彼らは右からの崩しで2点目を奪ったのだ。

　岩波拓也からの大きな展開を受けた大久保は、右サイドからカットインして中島に預けた。彼は右に持ち出しながら敵を引き付け、少し時間を作って大外を上がってきた酒井宏樹にボールを供給。次の瞬間、精度の高いクロスが上がり、これをエース・興梠が確実にヘッドで仕留める形になったのだ。

「翔哉君とやって？　ヴェルディっぽいなという感じです。ギリギリまで判断を変えられる余裕があるというか、ユースで渡辺皓太（横浜F・マリノス）とやったような感覚ですかね。自分もそういうのを忘れていたなと。日々の練習から思い出してます」と大久保は言う。

　確かに独特の間合いと駆け引き、緩急ある動きは今までの浦和にはなかったもの。アタッカー陣にとっても新鮮だったに違いない。

　その後も中島は「違い」を見せ続けた。敵と味方のギャップに立ってボールを受け、スルーパスを出したり、小泉・興梠と近い距離感でトライアングルパスを回したりと、小気味いい攻めで見る者を魅了する。26分には右の酒井から横パスを受け、左足に持ち替えてミドルも放つ。これは惜しくも入らなかったが、多彩なアタックでゴールパターンは確実に広がりそうな印象を残した。

　とりわけ、小泉とは息の合った連係を披露。スコルジャ監督も試合後の会見で「特に佳穂との連係が興味深かった」というコメントを残したほどだ。