勝利へ導く渡辺皓太が描く青写真
「今日に関してはボールの失い方が悪くてカウンター、というパターンが多かったので、しっかり落ち着かせようとしていたんですけど。前節から攻撃に厚みを持たせたいと思っていて、より前の部分で関わろうとしていたので、それが最後に、あの時間帯での結果に結びついたと思います」
ボランチの一枚が前がかりになれば、その分だけリスクも高まる。実際、84分、85分とFC東京が放ったシュートが立て続けにクロスバーを弾いた。ピンチを招いた場面への反省はもちろん忘れない。それも勝利に直結するゴールを追い求めて、渡辺は攻守のバランスを取り続ける青写真を描く。
「そこ(リスク管理)も課題ですけど、それよりもボールを失わずにやり切る、といったクオリティーの方を求めていきたい。そこで失わないぐらいのクオリティーを示せたら、と思っています」
今シーズンも残り10試合となった。3位の名古屋グランパス、4位の浦和レッズとの対戦を終えた状況を考えれば、ホームの日産スタジアムに2位のヴィッセル神戸を迎える、9月30日の第29節が連覇へ向けて大きなウエートを占める可能性もある。勝って兜の緒を締めよ、とばかりに渡辺が言う。
「もう勝ち点を落とせないし、すべての試合を勝ちにいっている。そのなかで最後まで全員があきらめなかった結果が、今日の勝ち点3につながったと思っています。これからも今日みたいな苦しい試合が続くと思いますけど、1試合1試合に集中して、日々いい準備をして、最後に……」
昨シーズンは7月に次男が生まれ、その後の9月から渡辺はレギュラーに定着した。実紀さんは現在妊娠6カ月で、前出のYouTubeでは「ちょうど最終節あたりが出産予定日なんです」と明かしている。ならば、第3子が生まれた先には何が待つのか。再びはにかみながら渡辺が言う。
「去年2人目が生まれて優勝したので、3人目が生まれる今年も、もう一回優勝したいですね」
J1リーグで延べ8チーム目、マリノスに限れば2003、04シーズン以来、19年ぶりとなる連覇へ。チームの最小兵ながら将軍のオーラを漂わせる渡辺が、攻守両面でマリノスをけん引していく。
(取材・文:藤江直人)
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