ラツィオを理解。隠れたファインプレーは?
ラツィオはエースのチーロ・インモービレのゴールで先制しながら、後半に入って失速し、レッチェにまさかの逆転負けを喫している。鎌田にとってはほろ苦いデビュー戦となったが、個人としての出来は上々だったと言っていいだろう。
サッリのチームはワンタッチ、ツータッチを基本にパスを散らすなど、ボールも人もよく動く中でスペースを作り出していく。もともと少ないタッチでのプレーを苦手としていなかった鎌田は、味方とのコミュニケーションが抜群とは言えない中でもそのテンポに難なくついていき、精度の高いプレーを見せた。
また、最終ラインからのボールの引き出し方やタイミングも素晴らしく、相手を引きつけて味方にスペースメイキングするなど、オフ・ザ・ボールでも非凡なものを見せた。前半終了時点でのタッチ数は中盤の選手で最少だったものの、振る舞い方は決して間違ってはいなかった。
そんな鎌田のプレーで最も印象的だったのが、32分のシーンだ。
鎌田はハーフウェイライン付近でダニーロ・カタルディからパスを受ける。この時点でマークは付いておらず、少しドリブルで持ち運べる余裕があったのだが、背番号6は2タッチ目でハーフスペースに走っていたルイス・アルベルトにパスを渡したのだ。
ラツィオのチャンスのほとんどはL・アルベルトから生まれていると言っても過言ではなく、彼にどれだけ良い形でボールを預けることができるかは、ある種の生命線となっている。鎌田は新加入選手だが、ラツィオというクラブを理解していたからこそ、上記のプレーを選択することができた。これは今後の信頼関係にも繋がっていくはずで、何気ないが、隠れたファインプレーだったと言っていい。
鎌田は55分という比較的早い時間にベンチへ退いている。サッリ監督はレッチェ戦の前日会見で新加入選手のコンディションを気にする発言をしていたため、あらかじめ予定されていたものだった可能性が高い。いずれにせよ、プレー面で交代させられる理由を見つけ出すのは難しかった。