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待ち受ける悪夢。マンUが抱える2つの問題。なぜラッシュフォードは消えたのか?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 竹内快 photo by Getty Images

失点の原因は…



 トッテナムはボールを持つと3バックにフォーメーションを変化させた。右SBペドロ・ポロが偽サイドバックとして中央に絞り、MFイヴ・ビスマ、MFパペ・サールと共に中盤を構成する[3-3-3-1]の形だ。

 これに対してユナイテッドは、ポロが抜けて3バックになったトッテナムの最終ライン(クリスティアン・ロメロ、ミッキー・ファン・デ・フェン、デスティニー・ウドジェ)へ前線の3枚(マーカス・ラッシュフォード、アレハンドロ・ガルナチョ、アントニー)でプレッシャーをかけた。

 これがユナイテッドのミドルサードにおける数的不利を生み出してしまう。ビスマに対してB・フェルナンデス、ポロに対してメイソン・マウント、ジェームズ・マディソンに対してカゼミーロがマークに行ったことにより、サールがフリーの状況を作り出してしまった。

 ポロが中盤に入ることで空いたスペースに神出鬼没に入るサールがボールを受けてクルゼフスキに繋ぐことで、ユナイテッドのプレスは簡単に回避されてしまった格好だ。本来ならば左に位置していたマウントがサールを見るべきだったが、ポロとサールが縦に並んだことで相手最終ラインに近いポロをマークせざるを得ない状況にされてしまった。

 これを受けてトッテナムの最終ラインに対しラッシュフォードとアントニーの2人でプレッシャーをかけるプランに変更したユナイテッドだが、今度はポロ、サールが右のワイドに大きく広がり中盤のスペースを広げる。そこへ高い技術をもつマディソンが下りてきて、ボールを運ばれてしまった。

 29分のシーンはマディソンのテクニックが顕著に表れた例だろう。マディソンを警戒していたユナイテッドだが、同選手がもつ高い“個”の技術でプレスを回避されボールを一気に運ばれる。GKオナナのセーブによりゴールには結びつかなかったが、トッテナムに大きなチャンスをもたらした。

 失点した49分のシーンではデヤン・クルゼフスキに対する左SBルーク・ショーの対応が槍玉にあげられがちだが、その発端となったのは右にワイドに開いたポロ、サールにマウント、ガルナチョが引っ張られたことにある。偽サイドバック戦術に翻弄され、上手くトッテナムを「はめる」ことができなかったことが失点に結びついたと言える。

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