浦和レッズに活力を与えた西川周作のアクション
5分が表示されたアディショナルタイムには、MF大久保智明に代えてDF岩波拓也を投入。5バックで虎の子の1点を死守しようとした浦和に、最大のピンチが訪れたのは94分だった。
敵陣の右サイドでこぼれ球を拾ったMF久保藤次郎がFW前田直輝へボールを預け、そのままペナルティーエリア内へ侵入していく。そして、前田からパスを受けたMF稲垣祥が振り向きざまに意表を突く縦パスを一閃。ボールの行き先の久保には、誰もマークがついていなかった。
しかし、久保が右足で放ったシュートは幸いにもゴールの枠を外れた。前へ出てきた西川がコースをふさぎ、懸命にスライディングで飛び込んできた岩波の姿も久保にプレッシャーを与えた。九死に一生を得た直後に西川が吠えた。怒気を含んだ大声が仲間たちに最後の力を与えた。
「いつも以上に声を荒げることもありましたけど、でも頭は最後まで冷静だった感はあります」
何がなんでも1-0で試合を終わらせるための計算も含まれていたと試合後に明かした西川は、名古屋との勝ち点差を4ポイント差に詰めた、リーグ戦で5試合ぶりに手にした白星をこう振り返った。
「自分たちが上位に行くチャンスがあったのにここ数試合、結果がついて来なかったなかでもどかしさがありましたが、今日に関しては全員でしっかりと体を張るところ、あるいはハードワークするところが、前節の広島戦からまるで目を覚ましたかのようにできていた。自分たちも疲れていたけど、さらにもう一歩寄せるところなどは上回っていたと、後ろから見ていて感じていました」
これまでも、そしてこれからも大事にしていく「We are REDS!」の精神にのっとれば、天皇杯で敗退した直後に発生した乱入事案には浦和の選手たちも心を痛めている。西川が続ける。