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Jリーグ 1年前

浦和レッズはどういうクラブなのか? 「ラストチャンスだ…」声を荒げた西川周作の思い【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「負けたら終わり」因縁が生まれた名古屋グランパス戦



 ひとつはリーグ戦で2分け2敗と4試合連続で白星から遠ざかり、上位の背中が霞かけていた状況だ。この間にあげたのはわずか1ゴール。順位こそ4位と変わらないが、第19節時点で1ポイント差だった3位との勝ち点差は、前節終了時には7ポイント差まで広がっていた。

 もうひとつは勝てなかった間の2日に行われた天皇杯4回戦。名古屋に0―3で完敗を喫し、タイトルのひとつを失った直後に、試合会場の愛知県・CSアセット港サッカー場に暴徒化した大勢の浦和サポーターが乱入。愛知県警の警察官約50人が出動する前代未聞の事案が発生した。

 浦和は翌3日夜に計77人のサポーターに処分を科したと発表した。乱入を主導した31人に浦和が出場する9試合、サポーターを統括するリーダー1人に同じく16試合の入場禁止を科し、乱入した45人を厳重注意としたが、処分そのものが「甘すぎる」と炎上状態を招いた。

 批判が収まらないなかで、5日に田口誠代表取締役社長と須藤伸樹マーケティング本部長がオンライン会見を実施。試合運営およびファン・サポーター対応を管轄する競技運営部門の総責任者でもある須藤本部長は、暴力行為の有無について「暴力は確認されていない」と明言した。

 名古屋戦翌日の3日時点で把握できていた事実と断りを入れた同本部長は、あくまでもピッチを含めた立ち入り禁止エリアに侵入した行為に対する処分だと説明。しかし、この時点で警備員を押し倒すなどの暴力行為を収めた映像がSNSに投稿され、大勢のユーザーによって拡散されていた。

 浦和は16日夜にも緊急リリースを出す。天皇杯を主催する日本サッカー協会(JFA)の主導で行われてきた映像を使った、細部の事実確認に共同作業の形で加わった結果として、暴力や破壊、危険、威嚇を含めたサポーターによる違反行為が合計で40件も確認されたと発表した。

 警備員を押し倒し、あるいは名古屋サポーターの胸ぐらをつかんだ暴力行為はそのうち12件を数えた。JFAから暴力行為を含めた違反者には無期限の入場禁止処分が、さらに浦和にも厳罰が科される可能性が高まった2日後に、計らずも因縁が生まれた名古屋とリーグ戦で相まみえたわけだ。

「やはり(ファン・サポーターも)思っていたんじゃないですか。リーグ戦で上位を狙うというところで、ここで負けたら今シーズンは終わりだ、と。自分たちもそう思っていました」

 勝利から見放された泥沼から力を合わせて脱出しよう、という誓いが「We are REDS!」に込められていたと受け止めた関根は、天皇杯後に発生した問題には慎重な口調でこう言及している。

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