シャビ・アロンソを上回るミケル・アルテタの戦術眼
アンティゴコ時代にアルテタとアロンソを指導したロベルト・モンティエルは、「ゲームのことをたくさん話した。戦略、ポゼッション、どのように相手を妨害するか……我々がどのようにプレーするかを常に伝えていたよ。少年時代から、彼はフットボールの戦術に興味を示していた。指導者としての資質は、当時から感じさせていたよ」と当時を振り返る。
同時に彼は、アルテタの戦術眼はアロンソを上回っていたと考えている。少年時代のアルテタは監督の意図を一言で理解し、ピッチを上空から見ているようなパフォーマンスを披露。最も遠い選手にスルーパスを合わせるなど、底知れないポテンシャルを秘めていた。そういった意味では、先にバルセロナが引き抜いたのがアルテタだったことも不思議ではない。
選手として階段を駆け上がっていくアルテタは頭脳明晰で、同時に全く自らの意志を隠さない芯の強い男だった。選手時代はアーセナルで150試合に出場したスチュワート・ロブソンはアーセナルTVの解説者としても活躍したが「個人的には、アルテタはヴェンゲルに近過ぎるのではないかとすら感じさせた数少ない主将だった」と語っている。
彼はヴェンゲルのフットボールを深く理解し、意見を戦わせることを厭わなかった。心の内にある意見を隠すことはせず、監督との議論を楽しむ。まるで大学の研究者のように、アルテタはフットボールの深淵を探求していた。レンジャーズ在籍時代には既にその片鱗を感じさせており、当時アルテタを指導していたアレックス・マクリーシュは下記のように振り返っている。