2位:アーセナル
【写真:Getty Images】
監督:ミケル・アルテタ(5年目)
22/23リーグ戦成績:26勝6分6敗(2位)
昨季はプレミアリーグで首位を独走している時期もあったが、シーズン終盤の怪我人続出の影響などもあり徐々に失速。最終的には直接対決で敗れたマンチェスター・シティに追い抜かれ、2位でのフィニッシュとなった。それでもUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場圏内に返り咲けば成功だと思われていた下馬評を考えれば、成功のシーズンだったと言えるだろう。
今夏にはクラブ市場最高額でデクラン・ライスを獲得し、カイ・ハフェルツとユリエン・ティンバーも補強。20シーズン前の“無敗優勝”以来、最も充実した戦力が整ったと言ってよいだろう。それでも2位と予想をしたのはミケル・アルテタの“勝負弱さ”だ。
マンチェスター・シティが大崩れしない限り、プレミアリーグを制するためには、直接対決でジョゼップ・グアルディオラ監督が率いるチームを倒さなければいけないだろう。少なくとも直接対決で五分の成績に終わらなければ、プレミアリーグ優勝は難しい。現在、アーセナルはリーグ戦でマンチェスター・シティに6連敗中と全く勝てておらず、アルテタは師匠のペップに2勝8敗と大きく負け越している。
この2勝はアーセナルの監督に就任して間もないFAカップ準決勝と、今年8月6日に行われたコミュニティー・シールドの2つである。後者に関してはシーズン開幕前の前哨戦であり、PK戦での勝利のため、あまり参考にはならないだろう。
このコミュニティー・シールドを除き、唯一の勝利となっているFAカップ準決勝での戦いを振り返ると、当時のアーセナルは3バックで守り、ピエール=エメリク・オーバメヤンのスピードを生かしたカウンターで勝利をしている。いわゆる“割り切った戦い方”で勝ち星を収めた。ところが、その後の8連敗は全て真っ向勝負を挑んで負けている。対するペップは臨機応変にアーセナル対策を講じて戦っており、監督の差が如実に出ていると言えるだろう。
アルテタはチームのベストの布陣を作ることが非常に上手い。モチベーターとしても優秀だ。そんな彼に足りないのが“勝負強さ”であり、2021/22シーズンの5月12日に行われたトッテナムとの第22節の延期分の試合でも真っ向勝負を挑んで、結果的にカウンターを食らって敗れた。この試合に引き分けておけばCL出場権は手中に収めていただけに、悔いが残る敗戦だった。
アルテタはこのような失敗を活かさなければいけない。仮に彼が大一番での勝負強さを身につければ、20シーズンぶりのプレミアリーグ優勝が見えてくるだろう。