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デメリットが多すぎたアーノルドの偽SB起用。リバプールを停滞させるメカニズム【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 松島亮太 photo by Getty Images

チェルシーに突かれた偽SBシステムの問題


 この試合、守備に奔走するばかりであったロバートソン、攻撃ではボールロストが目立ち精彩を欠いたアーノルドは、本来のポテンシャルを出せたとは言えない試合内容であった。対照的に、WBの役割を担ったチェルシーのリース・ジェームズとベン・チルウェルは何度も上下運動を繰り返して中盤や前線の選手と連動。空いたスペースを上手く使い、効果的な攻撃でリバプール守備陣を脅かした。この試合に限って言えばSBの選手を上手く機能させたのはチェルシーと言えそうだ。

 守備時の対応も問題だ。ボールを相手チームに奪われた時、アーノルドが本来居るべき場所である右SBにはスペースが生まれる。そこをカバーするためにCBのイブラヒマ・コナテや右のMFとして配置されたソボスライ・ドミニクが走り回ったが、前半からスペースをカバーし続けた彼らの疲れは明白だった。過密日程となる年末年始のボクシング・デーでもこのスタイルは継続できるものだろうか。

 右CBのコナテが右SBの位置を埋めるためにスライドすれば必然的に左CBのファン・ダイクや左SBのロバーソンも中央に寄ることになる。今日の試合では、左MF起用されたガクポが中盤での守備に不慣れということもあり、ロバーソンとガクポのいる左サイドから多くの起点を作られてしまったが、守備陣系が全体的に崩れてしまうのが偽SBシステムの難しいところだ。

後半からリバプールはディフェンスラインの前で自由にチェルシー攻撃陣にボールを持たれてしまい、早めに潰したくても対応が追いついていなかった。そして、右サイドのスターリングにパスが通ると簡単に前を向かれてしまい、突破からクロスに繋がってしまう悪循環に陥っていた。

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