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久保建英 1年前

チャンスはほぼ久保建英から。レアル・ソシエダが痛感したシルバ引退の影響【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

久保建英がいないとレアル・ソシエダはヤバい…



 久保に関してはポジティブな要素が多く、それはソシエダにとっても大きな光となっている。しかし、一方で久保がいないと本当にマズいのではないか、という大きな不安も、ジローナ戦では感じた。

 ソシエダはボール保持を基本とするチームだが、ビルドアップはお世辞にも機能していなかった。ダビド・シルバが担っていた役割はブライス・メンデスが受け継いでおり、彼自身は奮闘していたが、当然ながら前者ほどのクオリティーは出せない。昨季のように、シルバの能力でどうにかなっていた組み立てがどうにもならなくなったことで、前線に効果的なボールが入らず、中途半端な攻撃に終始。結局は、支配率、パス成功率、パス本数すべてでジローナを下回っているなど、何が強みなのかを見出せなかった。

 そうした中で孤軍奮闘していたのが久保で、先述の通り日本人レフティーから生まれたチャンスは多かった。しかし、B・メンデスを除いてチームとして久保を生かすというイメージは共有できておらず、久保のタッチ数は左サイドでほとんど怖さを示せなかったミケル・オヤルサバルとたったの2回しか差がない。これは実にもったいないデータで、もっと久保を使うべきだったと言える。

 そんな状態のチームから久保がいなくなればどうなるか。想像するのは難しいことではないだろう。シルバがいれば上記の問題は解決していたかもしれないが、もうレジェンドはスパイクを脱いでいる。

 イマノル・アルグアシル監督もシルバ不在の大きさを痛感しているようだ。ジローナ戦後、同監督は「シルバのような選手は10km、100km、1000km先にもいない。彼が私たちに与えてくれたものには感謝しているが、彼がいなくなってしまった以上、我々はこれから先のことを考えなければならない」と話している。

 開幕戦の時点では昨季からの上積みが見られなかった。やはりシルバ、アレクサンダー・セルロートが抜けたことで、レベルダウンしてしまっている。今後の補強次第でもあるかもしれないが、今季のソシエダは想像以上に厳しい道を歩むかもしれない。

(文:小澤祐作)

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