この試合で得た大きな収穫
このインスイングのクロスを続けることで、三笘が得意としている縦への仕掛けも活きてくる。この試合では後半にオープンな展開となったことで、止まった状況から縦へ仕掛ける場面はほぼなかったが、「三笘対策」を打ち破る手段の一つとして効果的なものになるだろう。
しかし、個で局面を打開するにも限界がある。昨季のマンチェスター・ユナイテッド戦のようにアーロン・ワン=ビサカとカゼミーロにダブルチームで見られると、縦と中のどちらにも選択肢がなくなる。このようなケースで有効になるのが、周りの選手を生かすプレーだ。
この試合では周囲との連係面でも大きな収穫があった。特に好相性だったのが、新加入のジョアン・ペドロである。21歳のブラジル人FWは、後半にデ・ゼルビ監督の指示を受けて、前半と比較すると高い位置から降りてボールを受ける機会が増加。これにより相手選手を引き付け、裏にスペースが生まれた。
左サイドに流れることが多いジョアン・ペドロと三笘はワンツーでパス交換しながら、ルートンディフェンスの背後にあるスペースを徹底的に突いた。69分にジョアン・ペドロが獲得したPKも三笘から受けたパスがキッカケで生まれたものであり、ブライトンの左サイドは常に脅威となっていた。
昨季後半戦の活躍を受けて今季は徹底的に対策を講じられそうな三笘だが、それを打破するための策をいくつか持っていることを開幕戦から証明してみせた。2023/24シーズンも大車輪の活躍を期待してよいのではないだろうか。
(文:安洋一郎)
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