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Jリーグ 1年前

クローズアップされたヴィッセル神戸の「マイナス面」。優勝の前に立ちはだかる壁とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「何歳でもうまくなる」大迫勇也のスペシャルな働き



 際たるシーンと言えるのが、前半34分のカウンターだ。脇坂泰斗の左足シュートを本多勇喜がブロック。そのクリアが大迫に出た瞬間、川崎のマークが大南拓磨1枚になっていた。山村は少し下がり気味の位置でカバーに入る狙いだったようだが、大迫の溜めを作る動きは素早く秀逸で、左から一気に駆け上がってきたジェアン・パトリッキに的確なパスを出した。次の瞬間、パトリッキがゴール前に突進。これを大南が後ろから引っかけてしまい、決定的な得点機会の阻止で退場。PKこそなかったものの、「大迫スペシャル」と言ってもいい攻撃パターンが見られたのだ。

 さらに見る者を驚かせたのはこの直後。ペナルティエリアわずか外側から大迫が直接FKを叩き込み、先制弾を挙げたのである。日本の看板FWとして長くプレーしている点取り屋が直接FKゴールを決めるのは、プロキャリア初だろう。吉田孝行監督も「向上心があって練習を続ければ何歳になってもうまくなる。今季は練習後にたまに一緒に蹴ったりもしていたが、その成果が出たんだと思う」と絶賛していた。

 これで1点をリードして試合を折り返した神戸。11対10の数的優位もあって、余裕を持って後半を迎えられたはずだ。そんな彼らに予期せぬアクシデントが起きたのが、後半17分。山村との競り合いで大迫が右太ももを負傷。そのまま交代を強いられたのだ。

 背番号10をつけるベテランFWは以前から太もものケガを抱えていて、再発のリスクをつねにある。吉田監督は「明日の状況を見て検査していくが、打撲したところがつっただけということもある」と軽傷という見立てをしていたが、33歳の絶対的エースがいなくなった時の戦いを考えておかなければならないのも事実。そこは彼らにとっての前々からの問題点であるだけに、この時間帯は課題克服の糸口を見出す好機だったのかもしれない。

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