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「そんなルールは一切存在しない」ガンバ大阪監督が審判に疑問。なぜVARが介入しなかったのか

text by 編集部 photo by Getty Images

なぜ「PKやり直し」は行われなかったのか




 競技規則に則して考えると、キックが行われる前に攻撃側(マリノス)競技者がペナルティーエリア内に侵入した場合、ゴールが決まったときはPKを再び行うことになっている。一方で、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入できる事象は以下の通りとされている。

「ペナルティーキックを行う時のゴールキーパーやキッカーによる反則や、攻撃側または守備側の競技者がペナルティーエリアへ侵入し、ゴールポスト、クロスバー、またはゴールキーパーからボールが跳ね返った後、プレーに直接関与した場合」

 競技規則に明記されているわけではないが、間接的な解釈として、この場面はVARが介入できない。つまり、競技規則上、マリノスの選手の侵入はPKのやり直しに値するが、主審がゴールを認めた以上、VARは判定に関与することはできない。言うまでもないが、1度目のやり直しは、東口がプレーに直接関与している。

「本当に妙なことが起きている事象であって、石毛が副審から言われたのは、跳ね返りの(ボールに触る)意図(的なプレー)がなければ(ペナルティーエリア内に)入ってもいいと説明されたが、そんなルールは一切存在しない」

 ポヤトス監督は副審から説明があったことを明かした。文字通りに捉えれば指揮官の言っていることは正しいが、「入っていてもいい」はやや誤解を生む表現かもしれない。「入っていたとしてもVARが介入できない」と言われたのであれば競技規則を適切に運用していることになる。

 ガンバ側の主張は決して間違いないが、VARのマネジメントも間違えてはいない。勝敗に影響するシーンだっただけに様々な感情が交錯することとなったが、競技規則に照らし合わせるとフェアな判定だったと言える。

(取材・文:加藤健一)

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【了】

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