山田直輝が考える湘南ベルマーレに「あと一歩」足りなかったもの
チームに落とし込まれた原理原則を選手が遂行できれば結果がついてくることは、5-1で大勝した鳥栖戦を見れば明らかだろう。ただ、相手も研究してくる。それでも結果を残し続けるためには、それを上回るものが必要になる。
結果が出ていない時期はどうしても消極的な選択をしがちだ。ボールを持つ選手と受ける選手の関係性はあっても、それを追い越す選手や、おとりになる動きをする選手が少なく、相手からしても守りやすかった。
ただ、中断期間を経てもう一度自分たちを見直した結果、広島戦は躍動感を取り戻すことができた。味方のために走る、チームのために身体を張る。それが山田の言う「やらなければいけない」ことであり、「足りていなかった」ことだったのだろう。逆説的だが、変えずに貫いたことがチームに変化をもたらした。
「智さん(監督)が言っていることを(みんな)頭では理解している。でも、やっぱりあと一歩のところだったり、チームを助けるために走るところが足りなかったんじゃないかなと思う」
試合終盤に訪れたピンチの連続を田中は「やられるような感じはしなかった」と振り返る。一方で、65分にベンチに下がった山田は「最後にやられることが最近はあったんで、見るのが怖くてロッカーに下がって1人で祈っていました(笑)」と明かしている。
誰よりも勝利を渇望する男は、ロッカーで1人、結果を知ることとなった。「出ている方がまだマシで、見ている方が緊張する。最後にピンチがあったみたいですけど、僕が見てなかったおかげでボムグンが止めてくれた」と笑う。
この瞬間、湘南に欠けていたものが何かに気づいた。「ゴールを決めたい」「勝ちたい」といった根本的な思いが、山口監督が志向するゲームモデルに交わったとき、湘南というチームは1つになった。
(取材・文:加藤健一)
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